333話 海賊船なのです。
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「誰かいるぞ!」
「そうですねっ」
「むう」
俺、恵ちゃん、秀子ちゃんは扉を注視した。するとそこから長い白髪に赤い目をした胸の大きな美少女が現れたのだ。
黒いロングコートを着ていて腰には剣を佩いている。頭にはドクロマークが付いた大きな黒い帽子を被っている。
「集子ちゃんじゃないか」
「集子ちゃんですねっ。良かったですっ」
「むう。この世界の創造主?」
金尾集子ちゃんはゆっくりと俺たちの近くまで歩いてくる。
そしてニッコリと笑顔を見せるのであった。
「ふぉふぉふぉ。ようやく会えたのう」
聞けば集子ちゃんも200年くらい前にひとりになってこの空間を創ったとのこと。そして他の女神たちと連絡が取れなくなったらしい。これは恵ちゃんや秀子ちゃんの場合と同じだった。
「やっぱりドラゴンと戦ってゲームセンターから出た後だったんですねっ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう」
やはりあのドラゴンと戦った直後から全員が臥留子ちゃんの創造空間から出されてしまったようだ。
「で、この船はいったいなんなんだ?」
俺が問うと集子ちゃんは笑顔で答えてくれる。質問されたのが嬉しいようだ。
その大きな胸を張り両手を腰に添えて仁王立ちである。
「ふぉふぉふぉ。この船は海賊船じゃ。そして儂はキャプテンなのじゃ」
そういう設定だからその装束を着ていて、船の帆も黒にしているようだ。
そして俺は改めて周りを見回す。だが手下の海賊はやはりひとりもいない。海賊には手下がつきものだろうし、第一、帆船ってのは人海戦術じゃなきゃ動かせない乗り物のはずなのだ。
「で、なんで手下の海賊がひとりもいないんだ? それにどうしてひとりで帆船を動かせるんだ?」
俺は最もな理由を尋ねた。
「そういえばそうですね。ひとりで海賊ってのはおかしいですねっ」
「船が勝手に動いている?」
「ふぉふぉふぉ。海賊の手下ならそこにおるじゃろう」
……え?
俺は辺りを改めて見回した。だがいるのは俺と恵ちゃんと秀子ちゃんだけだ。
それ以外は青い海原と澄み切った青空だけだ。
「ふぉふぉふぉ。お主たちが海賊の手下じゃ。それに船は神力で動いているから問題はないのう」
集子ちゃんの説明によるとこの世界を創ったときに必ず俺たちの誰かがやって来ると信じてずっと船で待っていたらしい。
そして今日がその待ちわびた日らしいのだ。
「まあ、することはないから別に構わないけどな」
「そうですねっ。でも海賊ってなにするんですかっ? やっぱり他の船を襲うんですかっ? それなら嫌ですよっ」
「むう。同意」
そうだった。
海賊ってのは基本、一般の商船とか客船を襲ってお金や価値のある貴金属とかを奪う職業だ。それなら俺もしたくはないな……。
集子ちゃんと海賊船だったのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。