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331/514

331話 帽子を間違えたのです。

基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

「ここに入りましょうっ。私もいつまでも貴族のドレス姿じゃ困りますしっ」




 そうだった。

 恵ちゃんは領主館で朝食を食べたときのままの白いコテコテドレス姿なのだ。この格好じゃ街中では動きにくいだろうしな。




 なので俺たちは店に入った。

 冷房が効いていて心地よい。

 見ると背の高い棚にずらりと服が並んでいる。マネキンにも一押しの服が展示されている。今は夏なので半袖の服が多い。




「試着しませんかっ? 私も着替えたいのでちょうどいいですっ」




 そう言って恵ちゃんは白黒秀子ちゃんたちを誘った。

 売り場はハンガーに吊られたワンピース、……たぶんサマードレスって言うんだろうな。とにかくそう言う服が売っている場所だ。




 見るとそれぞれが手にしているサマードレスはふんわりして涼しげだ。恵ちゃんは赤を基調としたものを選んでいる。

 そして白秀子ちゃんは当然のように白いサマードレス。黒秀子ちゃんは黒を基調としたものを選択していた。




「じゃあ、私たちは試着してみますねっ」




「「せっかくだから着てみる」」




 女性3人は試着室に入りカーテンを閉じる。

 俺はすることもないので側にあったソファに腰掛けてぼんやりとするのであった。

 だがやがてカーテンが開けられた。恵ちゃんだった。




「どうですかっ?」




 おお。さっきまでのお貴族様のコテコテドレスよりすっきりして涼しそうだ。




「いいんじゃないんか? 似合ってるぞ」




「えへへ。お世辞でも嬉しいですっ」




 そう言って恵ちゃんは頬を朱に染めて俯くのであった。

 こういう仕草はとても可愛らしいと素直に思う。




「「どう?」」




 ハモった声がして2つのカーテンが開けられた。

 黒を基調としたサマードレス姿の秀子ちゃんと純白のサマードレスを着た秀子ちゃんだった。

 髪こそ長めなものの普段はボーイッシュな印象がある秀子ちゃんだが、こういう女の子らしい服も似合っていた。




「おー。すげーイメチェンだな。可愛いぞ」




 俺が正直な気持ちを伝えるとなぜか2人とも顔を見合わせて俯いてしまう。……なんでだろうか? 俺は褒めたよな?




 その後も恵ちゃんと白黒秀子ちゃんたちは夏向けのブラウス、サマーセーター、派手なTシャツやアロハなの色々試着して俺に披露する。

 これはもうファッションショーだな。




 そしていよいよファッションショーが終わった。

 俺と言えばもう待ちくたびれてよれよれだ。やっと終わってくれたかと安堵のため息を漏らしていた。




 そんなときだった。

 元の白Tシャツ、黒Tシャツに着替えた秀子ちゃんたちが試着室から出たときだ。




「「帽子を被せて」」




 そう俺に頼んできたのだ。

 試着の邪魔になると思ったからなのか秀子ちゃんたちは俺にキャップを預けていたのだ。



「ああ、わかった」




 すっかりくたびれていた俺は右手に白いキャップ、左手に黒いキャップを持って、黒秀子ちゃんに白キャップ、白秀子ちゃんに黒キャップを被せるのであった。




「「帽子が逆」」




「あ、間違えた……」




 わざとじゃない。

 俺は待ちくたびれてしまっていて集中力が欠けていたのだ。だから黒秀子ちゃんに白、白秀子ちゃんに黒を被せてしまったのだ。




帽子を間違えてしまったのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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