330話 公園で勝負なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「そう言わないで、別の場所に行きましょうっ」
そう言って恵ちゃんは2人の秀子ちゃんの背を押す。そして俺たち4人はゲーセンを出るのであった。
そして俺たちは気の向くまま考えなしで歩いていた。すると割と大きめな公園があった。もちろん誰の姿もない。
「行ってみるか」
「そうですねっ。ベンチもあるし休めますっ」
そうして俺たち4人は公園に入った。俺と恵ちゃんは日陰になっているベンチに腰掛けた。風も吹いていて意外と気持ちいい。
そして白黒秀子ちゃんたちはブランコに向かった。2人で並んで座りブランコを漕ぎ始めたのだ。
「「勝負」」
なにやら2人でそう互いに宣言しあうとブランコをぐんぐん漕いでいく。そしてブランコの動きは速く高くなり、高みはすでにブランコをぶら下げた鉄製の支柱を超えている。
つまりどちらが高くまで漕げるかの競争なのだろう。
「なんにしても勝ち負けを競わないと気がすまないのか?」
「みたいですねっ。でも見る限りどちらも同じ高さまで漕いでいるので引き分けですねっ」
そうなのだ。もうブランコの構造の限界のようでそれ以上2人とも漕ぐブランコの高さは変わらない。
それがわかったのだろう。2人の秀子ちゃんたちはブランコを止めた。そして今度は物置小屋から水道ホースを見つけてきて砂場に水をまき始めたのだった。
「なにをしようとしてるんだ?」
「わかりませんっ。でも勝負しようとしているのはわかりますっ」
適度に水を撒き終わったのか、水を止めた白黒秀子ちゃんたちは片手スコップを握るとなにかを砂場で始めるのであった。
「なにをするつもりなんだ?」
「わかりませんっ。……あ、わかりましたっ。砂でお城を作っているようですっ」
そうだった。
見ているとわかったのだが、白黒秀子ちゃんたちは互いに砂で西洋風の城を造り始めているのだ。
だが、どちらの形状もまったく同じで出来上がるスピードも同じであった。
そして30分後。見事な城が出来上がっていた。尖塔を持つ城で四方には物見の櫓まで造られている立派なものだ。
記念に展示しておきたいほどの出来栄えだ。
「だが、どちらもまったく同じだな」
「また引き分けですねっ。いい加減、競争では元の世界に戻れないとわかって欲しいですっ」
その後も白黒秀子ちゃんたちはジャングルジムを登る速さを競ったり、なぜだかわからないがシーソーもチャレンジしていた。
シーソーで勝ち負けって測れるのか?
「「ここはもういい」」
どうやら2人の秀子ちゃんはこの公園では遊びを十分堪能したようだ。
そして俺と恵ちゃんは相談を始める。もちろんこの次はどちらに行くかだ。
「商店街のお店にしましょうっ」
「とは言ってもさっきカップ麺食ったしな。飲食店以外だな」
そんなこんなで俺たち4人は商店街を彷徨くことになる。
すると一軒の店が目についた。
大手チェーンの服飾店だ。男女どちらの服も品揃えが多くて、どちらかと言えば若者向けの店。俺もなんども利用したことがある店舗だった。
なにをやっても引き分けなのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。