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33話 飯食わぬ女房です。

【毎日昼の12時と夕方の18時に更新します】


この物語は毎話毎話が短いです。

それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。

……決して、私の手抜きではありません。

……きっと。





「けちな男がいて、

飯を食わない女房が欲しいと願っていたらしい」




「ホントにけちですね。

 そんなところにお嫁に行きたい女なんているもんですかっ」




 恵ちゃんは憤慨する。




「まあ、昔話だからな。

 ……で、そこに嫁に来たのはホントに飯を食わない女房だったんだ」




「へえ、物好きな女もいたもんですねっ。それじゃ死んじゃいますよっ」




「ふつうはな。

 でもその女はふつうじゃなかったんだ」




「へえ、どうふつうじゃなかったんですかっ?」




 興味を持ったようだ。

 恵ちゃんはずいと膝を前に出す。




「……いつの間にか米びつの米が少なくなっているんだ。

 それも半端な量じゃないんだ」




「ネズミの群でも飼っているんですかねっ?」




「んな訳ないだろ。

 ……で、男は夜中に天井裏から台所の様子を見るんだな」




「キャーっ」




 いきなり恵ちゃんが俺に抱きついてきた。




「な、なにすんだよっ」




 俺は恵ちゃんを引き離す。




「えへへ。

 きっと怖い展開になるって予想して先走りましたっ」




「せんでええっ」




 俺はまた抱きつこうと迫ってくる恵ちゃんに通せんぼするように腕を出す。

 するとそれをかいくぐって俺にやっぱり抱きついてくる。

 なんか、子猫みたいでちょっとかわいい。




「それでどうなるんですっ?」




「ああ。

 ……それで男は見るんだ。

 深夜の台所で女房の後頭部がばっくり割れてそこから大口が現れたんだ」




「ひゃあっ! 

 そ、それじゃ人間じゃないじゃないですかっ」




「だろ? 

 だから男は驚いたんだ。それで女房は後ろの口でご飯をぱくぱくと食べ始めた」




「抗議しないんですかっ?」




「抗議?」




 俺は再び恵ちゃんを引き離した。




「だって契約違反じゃないですかっ。

 だってご飯を食べないって約束だったんですよねっ?」




「あ、あのなあ。

 ……相手は人間じゃないんだぞ。そんなことできるか」




「ふーん。意気地が無いんですねっ」




 俺は恵ちゃんの質問を無視して話を続ける。




「で、結局、

 女房は自分の正体がばれたことに気がつく。それで男を追っかけるんだ」




「ふーん。

 その女房は情は深いんですねっ」




「情が深い? 違うだろ? 

 その男を食べるつもりだったんじゃないのか?」




「へえ。

 ご飯だけじゃお腹いっぱいにならなかったんですねっ」




「……ま、まあ。いい。

 とにかくそんな大食いの女がいたって話だ」




 すると恵ちゃんは少しばかり思案顔になる。




「でもそれが私とどう関係してくるんですかっ?」




「あ、それはだな……」




 俺は返答に困った。

 よく考えたら恵ちゃんも人間じゃないのだ。だったら気分を害するに違いないかも知れないのだ。




「あ、なんでもない。

 さあ、片付けをしようか」




 俺は話題を変えようとして立ち上がる。

 だが恵ちゃんの手が俺の裾を掴んだ。




「待ってくださいっ」




 俺は振り返り、ぎょっとする。

 恵ちゃんの目が据わっていたのだ。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み

「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み

「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み

「墓場でdabada」完結済み 

「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み

「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み

「空から来たりて杖を振る」完結済み

「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み

「こころのこりエンドレス」完結済み

「沈黙のシスターとその戒律」完結済み


 も、よろしくお願いいたします。

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