329話 互角なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「どちらが偽物なんですかっ?」
「「そいつ」」
「どちらが本物なんだ?」
「「私」」
なるほど。
どちらも本人としての自覚があるみたいで互いにそろって自分が本物と言い張る。
「これはどっちが本物か偽物か判別しないと駄目なパターンだな」
「そうですねっ。でもその方法がわかりませんっ」
見た目まったく同じで区別がつかない。
なので着ている服装から黒帽子で黒Tシャツの方を黒秀子ちゃん、そして白い服装の方を白秀子ちゃんと呼ぶことにした。
「黒秀子ちゃんと白秀子ちゃんはどっちがゲームが強いんだ?」
「「同じ」」
そう言った2人の秀子ちゃん。
試しに格闘ゲームを対戦でプレイしてもらうことにした。
黒秀子ちゃんが選んだのは先程プレイしたときに使用した女忍者……、くのいちって言うのか? とにかくそれだった。全身黒装束で背には忍者刀を背負っている。
それに対して白秀子ちゃんが選んだのも女忍者だった。ただしこちら側は白装束だ。
着ている服が黒か白かの違いはそれぞれの秀子ちゃん同様だった。
そして始まる格闘ゲーム。白黒の忍者はまったく同じ動きで攻撃し、防御し、技を使う。なのでどちらも同じだけのダメージが入るが決着はなかなか付きそうにない。
「互角ですねっ」
「まあ、本人同士だからな。実力も同じなんだろう」
そして水平に回転しながら高速で飛んで相手を斬りつける技が出た。もちろん白黒秀子ちゃんたち同時にだ。
それで画面中央で激突して結果が出た。
ダブルノックアウト……。
まあ、要するに相打ちだ。どちらも勝ちではなく負けでもない引き分けとなったのだ。
「「むー。悔しい」」
ハモって感想を述べる2人の秀子ちゃん。
その残念そうな表情までまったくいっしょだ。
「まあ、でもゲームで勝ち負け決めても勝った方が本物って訳でもないんだよな」
「そうですねっ。なんか別の方法で判別するしかないですっ」
そうなのだ。
考えたらすぐわかったのだが、ゲームで優劣を決めても勝者が必ずしも本物とは限らないからな。
そしてしばらくの間、俺と恵ちゃんは話し合う。それは俺は付き合いが短くてわからないが、長い付き合いの恵ちゃんなら本物の秀子ちゃんしか知り得ない情報とかを持っている可能性について話し合ったのだ。
だが、そんな恵ちゃんでも解決策は浮かばない。
その間だが、黒白秀子ちゃんたちはずっとゲームで対戦していた。シューティングゲーム、釣りゲーム、バスケットボール入れ、もぐらたたき、クレーンゲームなどなど。
だがそれらもすべて引き分けで決着はつかない。
「やっぱりゲームで競うのじゃないんだろう」
「そうですねっ。いっそゲームセンターから出たほうがいいんじゃないですかっ」
なるほど。
ここにいてもできるのはゲームだけだ。ならば場所を移すのも正解かもしれない。
「どこか行きたい場所はあるか?」
「「……ない」」
白黒秀子ちゃんたちが口を揃えて言うのだが、息ぴったりなのは感心するが返答内容は困るものだった。
そもそも遊戯秀子ちゃんはゲーム的要素がないものには関心がないのだ。
ゲームの成績は互角なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




