327話 なんともはっきりしないのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「秀子ちゃんに質問ですっ。この世界は秀子ちゃんが創ったんでしょうかっ?」
恵ちゃんが単刀直入に尋ねる。
だが秀子ちゃんは首を少し傾げきょとんとした表情になる。
「……たぶん」
なんとも手応えのない反応だ。
仕方ないので俺は質問を変えてみた。
「いつからここでゲームしてたんだ?」
すると秀子ちゃんは少し考え顔になった。だがすぐに返事をしてくれた。
「……たぶん、200年くらい前から?」
なぜにか疑問形だ。
俺と恵ちゃんに尋ねられても返答に困る。
だが、その返答に恵ちゃんは反応した。
「じゃあ、私が街を創った頃と同じですねっ」
なるほど。
確かに恵ちゃんが若い女性だけの街を創ったのは200年前だと言っていたな。
だとすると……。
「秀子ちゃん。俺たちといっしょにドラゴンを倒したのを憶えているか?」
すると秀子ちゃんはこくりと頷いた。
どうやらちゃんと記憶しているようだ。
「ドラゴン討伐後、私だけ」
なるほど。
俺もひとりだったし、恵ちゃんもそうだったしな。
しかしいつも最低限の言葉しか話さないな。
「秀子ちゃんはどうして神武商店街や街並みを創ったんですかっ?」
そう。それは俺も気になった。
恵ちゃんが創ったのはバリバリ異世界ファンタジーって感じだったのだ。なぜ秀子ちゃんが俺たちの街を再現したのか知りたいものだ。
「ん……。ゲーセンが好きだから?」
なぜかまた疑問形だ。
まあ、ゲームが好きだから知ってるゲーセンを再現したらついでに街並みまで創ってしまったってところなんだろうな。
「なあ、さっき神武高校に行ったんだが、俺たちの机がなくなっていた。それにはなにか意味があるのか?」
すると秀子ちゃんは首を傾げて考え顔になった。
そして少しの間、待つことになる。
「……あなたたちが来たときにわかるように目印?」
またもや疑問形。
どうやらあんまり考えなしでやったようだ。秀子ちゃんらしいと言えばらしい。
「食べ物とかはどうしてるんですかっ?」
するとまたしてもしばらく無言になった。考えるようなことじゃないだろうが。
「ポテチとかカップ麺」
「それはどこから用意しているんですかっ?」
「念じる」
「……は?」
俺は思わず唖然としてしまった。
だが、次の瞬間納得させられることになる。
なぜならば、ゲーム筐体の平らな部分にカップ麺が3つお湯が入った状態でいきなり現れたからだ。
「食べる?」
ちょうど腹が減っていたので俺たちは頷いた。朝に恵ちゃんの領主館で食事してからなにも食べていないからな。
そして俺と恵ちゃんは礼を言ってからカップ麺を食べたのだった。
念ずれば出てくるのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。