316話 お手つきなのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
屋敷の夜は早い。
それも仕方ないだろう。ネットもテレビもないのだ。なので俺は客間に戻ってからスマホのオフラインゲームで時間を潰した。
それにしても気になることがある。
それは恵ちゃんが口にした”お手つき”のことだ。
”お手つき”ってなんだ……?
俺が知っている”お手つき”とはトランプなどのカードゲームで間違った行為をしてしまったことだ。
恵ちゃんは今夜、俺とトランプでもしたいのだろうか……?
そして、ゲーム中に俺に”お手つき”させたいのか……。
外を見る。
今夜は月が出ていないからか、星々がすごい。
地球の星空とは違うようで、知っている星座はひとつも見つけられなかったが、夜空が全部天の川になったかのようにキラキラと無数の星が輝いているのだ。
そんなときだった。
俺の客間の扉がノックされたのだ。
そして入ってきたのはメイド服姿の澤井さんと河合さんだ。
「領主様に言われて来たわ」
「勘違いしないでね。私たちも合意の上だよ」
さて、なんのことだろうか……。
俺にはさっぱりわからないが、もしかしたらトランプの相手のことだろうか。
だとしたら相手にするのは恵ちゃんではなくて、澤井さん、河合さんなんだろうな。
「わかったよ。どうかお手柔らかにな」
俺がそう返事すると澤井さんと河合さんが揃って笑顔を見せる。
ただ、その笑顔がちょっと気になった。なんて説明すればいいのか難しいのだが、なにかを企むかのような色気ある笑顔。……そう妖艶な笑みってヤツに思えるのだ。
「ば、場所はテーブルでいいのか?」
そう言いながら俺はソファセットに腰掛けた。大人が4人は座れる大きなものでクッションがふかふかだ。
「私は構わないけど……」
「加茂くんって、ちょっとマニアックなのかな」
そう答える澤井さんと河合さん。だが俺には意味がわからない。
トランプするならテーブル一択だろうが。
だが2人はそんな俺の疑問などお構いなしで、なにやらメイド服を脱ぎ始めたのだ。
「……ちょ、ちょっと待って。なにするつもりだ」
俺は手を伸ばして澤井さん、河合さんを止めようとするのだが、2人は俺の狼狽をよそにするすると脱いでしまったのだ。
そして2人は……。ネグリジェ姿になっていた。澤井さんは清楚な白、河合さんは情熱的な赤色だった。
しかもである。下の下着は履いているのだが上はなにも付けていない。
そのネグリジェは生地が薄めなので、胸の大事な部分が透けて見えそうである。澤井さんのそれなりだが形の良い胸と、河合さんの見事なたわわもだ。両方とも直視するとまずい。
俺は思わず目をそらす。
「な、なんなんだ! 澤井さんも河合さんもいったいどうしちゃったんだ……!?」
俺は2人を見ないように叫び声を出してしまう。
「領主様に言われたでしょう? 今夜は”お手つき”をしてもらいます」
「でも条件があるよ。私か澤井さんのどちらかひとりを選ぶことだよ」
思わず俺は2人を見てしまう。
ネグリジェ姿で艶やかに微笑む2人の美少女。
「ええっ……! お手つきってそういう意味なのか!」
そうなのである。
”お手つき”とはトランプで遊ぶことではなくて、澤井さん、河合さんのどちらかに手を出して”お手つき女”にしてしまうことだったのだ。
女性をお手つきなのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。