307話 ドラゴン討伐完了? なのです。
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俺、恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃん、秀子ちゃんの5人はそれからしばらく無言だった。それはドラゴンを観察しているからだ。
「……やはり眠っているよな」
「そうですねっ。間違いなく眠っていますっ」
「って、言うか、熟睡ね」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。これは余程のことをしなけりゃ起きんのう」
「完全熟睡。危険なし」
そうなのだ。
ドラゴンはどう見ても完全に熟睡している。
ときおり、グォォ……、といびきをかいているだけで身体の方は床にべったり張り付いたかのように微動だにしない。
「なあ、これはこれで勝利なのか?」
「どういうことですっ?」
俺は説明する。
今までのスケルトンにしてもレイスにしても敵はすべて倒して来た。だけどこのドラゴンは無力化はさせているけれど倒してはいないことをだ。
「かと言って、これから攻撃再開はどうかと思うわ?」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。せっかく寝た子を起こすようなもんじゃしのう」
「無問題。敵は完全に無力化。よって勝利」
なるほどな。
確かにこれから武器を使って倒そうとしても目を覚ましたドラゴンに反撃されるだけだ。そもそも武器を使った攻撃はほとんどダメージが通っていなかったからな。やるだけ無駄だ。
だとしたら秀子ちゃんが言う通り、これはこれで勝利としてしまっていいのだろう。
「こう考えたらどうですっ? 消滅させようと眠らせようと私たちを攻撃できない時点で敵は負け、って考えですっ」
「なるほどね。それはあり得るわね。そもそも敵たちは私たちを臥留子のところに進ませないために妨害してきたのだし」
「ふぉふぉふぉ。そうなるかのう。寝ているドラゴンを放ってこのまま立ち去ればいいしのう」
「それが正解。ドラゴンを脇を通って前進」
俺たちの意見はまとまった。
対ドラゴン戦はこれにて勝利。よってこのまま静かに前進あるのみだ。
そして俺たちはいびきをかくドラゴンの脇を通ってゲーセンの奥へと更に進むのであった。
■
そしてしばらく歩いたときだった。
「あっ。服が戻っています」
「ホントね。良かったわ」
「ふぉふぉふぉ。やはりドラゴン戦はあれで勝利確定ってことじゃのう」
「服戻った。これでハズくない」
みなが言う通り服は戻っていた。
それぞれTシャツやワンピースなど元に着ていた服の姿になっていたのだ。
だが……。問題が残っていた。
「俺はどうなんだ?」
そうなのだ。
俺も服は戻っていた。だが姿が違うのだ。
「ダイキチーナちゃんのままですねっ」
「そのうち戻るんじゃない? どうせ臥留子の気まぐれよ」
「ふぉふぉふぉ。そのままでも良いのではないかのう。そもそも加茂大吉の姿ではPCショップに届いたパソコンを受け取れないから臥留子に頼むつもりじゃったんだろう?」
「なら無問題」
そう言えばそうだ。
俺はダイキチーナの状態で店にゲーミングPCを注文したのだ。だから受け取るにはダイキチーナの姿でなければならない。
そのためこの臥留子ちゃんの家にダイキチーナの姿にしてもらうようお願いに来たのだ。
だがである。
ダイキチーナは俺自身ではあるのだが、いろいろ刺激があり過ぎるのだ。
主に10代男子の理性の方面で、あれこれモヤモヤしてしまうのだ。
なので、ダイキチーナの姿は最低限の時間が望ましい。
ドラゴンの試練を終えたのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。