306話 ウィスキー攻撃終了なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
とにかく的はでかい。
そのため外れない。すべてのウィスキー瓶が口に命中するのだ。
そして今は俺たち5人で投げる。投げる。投げる。
「グオッ~……」
ドラゴンが声を出す。
だがそれは威嚇や攻撃の意思を示すものではなくて、満足を表しているもののようだ。
その証拠に目はトロンと緩み、身体も床にぴったり着けていて尻尾もピクリとも動かしていない。
完全に餌付けされ状態なのである。
「もう酔っ払っているのか?」
「わかりませんっ。でも、全体的に緩慢と言うか、気が抜けてると言う感じですっ」
「気分良さそうね。すっかり味わっているようだわ」
「ふぉふぉふぉ。こりゃ酔いが回り始めてるのう」
「酩酊感あり。攻撃続行」
どうやらウィスキー作戦は成功だ。
どう見てももはやドラゴンには敵意もやる気も感じられない。
ただただ口を開いて瓶を投げ込んでもらい、それを咀嚼して飲む。その動作の繰り返しである。
そして俺が5本目を投げた頃だった。
5人で5本投げたので25本。追加で持って来てもらった分の半分を消費したときだ。
ドラゴンが開けていた口を更に大きく開いたのだ。
「クワァァァ~……」
そしてそんな間抜けな声を出したのだ。
「……今、欠伸しなかったか?」
「そうですねっ。欠伸したように見えましたっ」
「酔いが回って眠くなり始めたのかしら?」
「ふぉふぉふぉ。効いてるのう。酔いが回っているのじゃろう」
「これからが肝心。追加攻撃の要あり」
そうなのだ。
今、ドラゴンはかなり酔いが回っている。追加でウィスキー瓶を投げ入れて更に酔わせるのが正解だろう。
「残りの分も全部投げるぞ」
「わかりましたっ。全弾命中させますよっ」
「そうね。1本も外さず全部飲ませましょう」
「ふぉふぉふぉ。更に酔わせるかのう」
「異議なし。全弾投擲」
そうして俺たちは続けてドラゴンの口目掛けてウィスキー瓶を投げ続けた。
そしてドラゴンはガラス瓶をバリバリと噛み砕き、中身の酒を堪能している。
もはや目は閉じられていて口の中で舌をしきりに動かしているのが見える。
「もう残りがないぞ」
最後の1本を投げ終えた俺がそうみなに宣言する。
その最後の瓶は見事ドラゴンの口に入り、噛み砕かれるのがわかる。
ウィスキーはこれでなくなった。
後はこれからどうするかだ。
「……寝ちゃいましたね」
「そうね。完全に寝てるわね」
「ふぉふぉふぉ。もう夢の中なんじゃろう」
「目標沈黙。攻撃中止」
そうなのだ。
今、ドラゴンは首もだらんと伸ばして床に着けている。
そして目は完全に閉じられていて開く様子がない。
「……グォォ……グォォ……グォォ……」
そして、いびきがここまで聞こえてくるのであった。
寝てしまったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。