295話 ドラゴンブレスなのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
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それまでドラゴンの動き、つまり攻撃は両手の爪による斬撃だけだった。
ここが広い空間ならあの巨大な尻尾による攻撃も可能なんだろうけど、この狭い空間ではそれが使えない。
なので爪攻撃だけだったのだ。
そしてそれは避けるのが容易だった。ドラゴン自体が巨大で動きはそれほど速くないからだ。
なのに今度は違う動きを見せた。
首を天井近くまで伸ばし俺たちを見下ろすように身構えているのだ。
「なんか嫌な予感がするな」
「そうですねっ。なにをするつもりでしょうかっ?」
「今までとは違う攻撃かしら?」
「ふぉふぉふぉ。警戒した方がいいのう」
「要注意。気をつける」
俺たちはすぐにその場から移動できるように身構える。
そして観察のため、攻撃は一時中止だ。
そしてドラゴンだが天井まで届かせた状態から口を大きく開けたのだ。
すると喉の奥から徐々に明るさが増してくる。
なにか炎のようなものが見えるのだ。
「……も、もしかして、あれか?」
「はわわっ。そうかもしれませんっ」
「ちょ、ちょっと聞いていないわよ」
「ふぉふぉふぉ。これはヤバイのう」
「各自警戒。あれはドラゴンブレス」
そうだった。
秀子ちゃんが言う通りあれはドラゴンブレスの予兆だ。
開かれた口の中の炎がだんだん大きくなっていて、もはや口からはみ出しそうになっていた。
きっと炎の塊を吐き出すんだろう。
「に、逃げるか?」
「どこへですっ? 逃げ場所なんてありませんよっ」
「と、とりあえず、後ろへ逃げましょう!」
「ふぉふぉふぉ。急いで避難じゃのう」
「後方退避。迅速に」
俺たちはドラゴンに背を向けると一気に走り出した。
もはや戦いなんてできる訳がない。
ドラゴンブレスと言ったら命中、即、消滅のバッドエンドしか考えられないからだ。
すると背後からゴウッと言う音とともになにかが近づいている気配を感じる。
そしてそれは熱い。
明らかにブレスが発射されたのだ。
「来るぞ!」
「しゃがんだ方がいいかも知れません」
「そうね。それがいいわね」
「ふぉふぉふぉ。運が良ければ避けられる可能性があるのう」
「全員、伏せる」
俺たちは駆け足を止め、全員で床に伏せた。
そしてその頭上を炎が追い越して行くのがなんとなくわかった。
だが、そのときだった。
「……熱い」
秀子ちゃんの声だった。
秀子ちゃんは俺たちの中央を走っていたのだが、どうやら目標とされていたのかもしれない。
俺たちは怖々と秀子ちゃんを見る。
果たして秀子ちゃんは……。
そしてそれを見た俺たちは一斉に叫び声を上げるのであった。
ドラゴンにはこれがあるのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。