290話 ミニガン少女なのです。
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そしてそのドラゴンだが、ほぼ無傷のようだった。
誰かが戦っているのはわかっていたが、さすがに有効なダメージは入れられなかったようである。
まあ、全長10メートルはあるもんな。その巨体だけで十分防御力になっているよな。
「で、どうするかだ」
「そうですねっ。戦うにしても、どう戦うかですねっ」
「……私の斧だとまったく効きそうにないんですけど」
「ふぉふぉふぉ。手榴弾なら弱点に当てればなんとかなるかのう」
恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃんにも有力な方法は浮かばないようだった。
俺はそこで少し考えてみる。
「まず、誰が戦っているか確認しよう」
「そうですねっ。ならばもっと近寄りましょうっ」
「そうね。こっそりと行きましょうよ」
「ふぉふぉふぉ。なるべくドラゴンに気づかれないようにじゃのう」
俺たちは少しでもドラゴンに発見されないように身を低くしてこそこそと近寄るのであった。
そして距離にして30メートルくらいまで近寄ったときだった。
戦っているの人物が見えたのだ。
その人物は腰だめに極太の銃を構えて乱射している。
こちらまでズドドドドと言う野太い射撃音が聞こえてくる。
「あれ、バルカン砲じゃねえか……!」
「すごいですねっ。おっきい機関銃ですっ」
「ミニガンね。……でも、あれ、そもそもヘリとかに固定して使う武器のはずよ」
「ふぉふぉふぉ。重いしでかいし反動も大きいので人ひとりで扱える武器じゃないのう」
そうなのだ。
俺の不確かな記憶でも、あれは人が携帯して射撃できる武器じゃなかったはず。航空機でも三脚でも構わないが、何かしらに固定して扱う兵器なのだ。
だが、あの人物はそれを手持ちして扱っている。しかもひとりで……。
「いったい誰なんでしょうねっ」
「そうね。私たちが知っている人かしら?」
「ふぉふぉふぉ。後ろ姿だとよくわからないのう」
そうだった。
わかるのは女性だと言うこと。それも若そうに見える。たぶん俺たちと変わらないくらいの年齢だ。
やがて射撃位置を変えるためか、その女性がゲーセン内を逆側に移動した。
そして見える横顔……。
「げっ! あれは秀子ちゃんじゃねえか!」
「そうですね。遊戯の神の秀子ちゃんですねっ。驚きましたっ」
「なんで遊戯秀子がここにいるのかしら……?」
「ふぉふぉふぉ。しかも戦っておるしのう」
これには俺たちは驚いた。
ミニガンを腰だめにして射撃し、ドラゴンと戦っていたのは遊戯の神:遊戯秀子ちゃんだったのだ。
髪の毛は胸元くらい。ツバの狭い帽子を被っている。
服装はTシャツにデニム地のジャンパースカート。そんな街中で見かけるような格好の女の子がミニガンでドラゴンと戦っているのだ。違和感は半端ない。
戦っていたのは秀子ちゃんだったのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。