287話 約1名、酔っぱらいなのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「で、どうするんだ?」
「私は飲みませんよっ。この容姿ですのでイメージ的に問題になりますっ」
そう言って恵ちゃんは辞退した。
まあ、そうだろうな。俺も幼い姿の恵ちゃんに酒を勧めるつもりは毛頭ない。
「私も遠慮するわ。元々お酒はあまり飲まないのよ」
と、呂姫ちゃんも辞退した。
あまり飲まないってことは飲んだことはあるようだ。
まあ、長生きしているし神様だから罪ではないな。
「ふぉふぉふぉ。どれちょっと飲んでみるかのう」
「お、おい!」
俺は止めたが集子ちゃんは止まらなかった。
瓶のキャップを捻って開封すると、なんと瓶のまま飲み始めたのだ。
いわゆるラッパ飲みってやつだ。
「ふぉふぉふぉ。安酒じゃのう。……じゃが、安酒なりに楽しめる味じゃのう」
一口二口飲み干すと集子ちゃんがそう感想を述べる。
……そう言えば、この高利貸しの神様は元々はジジイだった。
俺の前に初めて登場した時もグラスに入れた酒を飲んでいたな。
「まあ、止めはしませんけどっ、ほどほどにしてくださいねっ」
「美少女がウィスキーをラッパ飲みって、シュールな図柄ね」
俺もそう思った。
腰まで伸ばしたシルクのような白髪。透き通る白磁のようなスベスベな肌。細身なのにたわわな胸。折れそうなほどにくびれた腰。スラリと伸びた肢体。
これでストローでトロピカルジュースでも飲んでいるのなら絵になるだろうが、ラッパ飲みだぞ。
つまり見た目と違って中身はジジイってのがよくわかるシチュエーションだ。
「ふぉふぉふぉ。いい感じになってきたのう。どれ、もう1本……」
その言葉で集子ちゃんをよく見ると目がトロンとして顔が赤くなっていた。
そしてなんとなくだが動作が緩慢になっている。
これは見事なほどの酔っぱらいだ。
「ああっ。もう駄目ですよっ。集子ちゃん、飲み過ぎですっ」
「駄目よ。もう飲むのはお終いよ」
2本目の瓶に手を伸ばそうとした集子ちゃんを恵ちゃんと呂姫ちゃんが抑えた。
まあ、そうなるだろうな。
「いちおう俺たちはこの先を目指してるんだ。あんまり酔っ払うと置いて行くぞ」
俺もいちおうは注意する。
すると集子ちゃんも形勢不利と悟ったようで渋々と瓶を長持に戻すのであった。
「で、これはどうしたらいい?」
「そうですねっ。今までのパターンから考えると持って行くのがいいと思いますっ」
「そうね。スタングレネードを長持に残して行ってしまったから、レイスとの戦いに苦戦したものね」
確かにそうだ。
あのときは失敗した。そのことを考えるときっとこのウィスキーにも使い道があるんだろう。
「そうだな。じゃあ持っていくか。……でも、どうやって持っていくんだ? 武器も持ってるから、ひとり1本くらいしか持てないぞ」
そうなのだ。
長持の中には100本くらいウィスキーが入っているのだ。
「あ、大丈夫そうですよっ」
そんなとき、恵ちゃんが長持の中を指さして発言するのであった。
酔っ払いなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。