286話 新たなる長持なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「……消えたな」
「……消えましたねっ」
「終わったのかしら?」
「ふぉふぉふぉ。これで終わりかのう」
もはや三女神とダイキチーナのもどきたちはすっかり消滅していた。
彼女らが全裸で座っていた床にはもうなんの痕跡も残っていない。
「先に進もう」
「そうですねっ」
「そうね。……でもそろそろ終わりにして欲しいわ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。もういい加減疲れたわい」
そして俺たちは先に進むことにした。
いつ敵が現れるかわからないので武器を構えたまま。いつでも攻撃できる態勢を維持してだ。
そしてゲーセンの中をしばらく進んだときだった。
光と音と放つゲーム筐体の群れをいくつも通り過ぎたときだ。
俺はふと違和感を覚えた。光も音も一切放っていない箇所を見つけたからだ。
「む? ちょっとあれを見てくれ」
「なにか変ですねっ」
「光ってないわね。怪しいわ」
「ふぉふぉふぉ。調べてみるかのう」
俺たちはその不自然な箇所へと足を進めた。
そして気がつく。
「長持だな」
「そうですねっ」
「と、言うことは、またなにか入っているのかしら?」
「ふぉふぉふぉ。可能性はあるのう」
それは長持だった。
黒々とした木製の大きな物入れがデンとゲーム筐体に挟まれるように置かれてあったのだ。
俺と恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃんは長持の前に座った。
「開けるぞ」
「開けましょうっ」
俺はそっと蓋を開ける。
すると中には意外過ぎるものが入っていた。
「……瓶だな」
「そうですねっ。たくさんありますねっ」
「ちょっとこれ、お酒よ」
「ふぉふぉふぉ。ウィスキーじゃのう」
そうなのだ。
長持の中には大きなガラス瓶に入ったウィスキーが大量に入っていたのだ。
それはスーパーやコンビニでよく見かける銘柄の物だ。つまり珍しくもないただのウィスキーだったのだ。
「……これをどうするんだ?」
「さあ、どうするんでしょうねっ」
「まさか、私たちに飲めっていう訳じゃないでしょう? 私たち一応は高校生なのよ」
そうなのだ。
俺は正真正銘の高校生だ。だが恵ちゃんたちは神様なので長生きしていることから間違っても未成年じゃない。
なので三女神たちは飲んでも違法にはならないだろう。……もっとも神様であること自体、人間じゃないので人間の法律には縛られないだろうけどな。
中にはお酒が入っていたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。