28話 ホームセンターです。
【毎日昼の12時と夕方の18時に更新します】
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。
それから俺たちは林間学校に必要な物資を調達した。
と、言っても調理器具も食材も現地で用意されているので、
そろえたのは服とか簡単な医薬品とか懐中電灯などの非常用品だけだ。
なので、買い物はすぐに終わった。
それからのことである。
気がつくと見事な夕焼けで、
俺たちはそれぞれ担当の荷物を持って家路に向かおうとしていたのであった。
「僕はこっちだから」
新井が残念そうな顔をした。
聞くとやつはウチの学校では珍しい自宅組でバスで通っているとのことだった。
「じゃあな、明日」
俺は特別な感慨などこれっぽっちもなく、
厄介払いでもするように新井に手を振った。
ヤツにしてみれば美少女たちとの別れが残念なんだろうが、
俺にはまったく関係ないことだ。
「大吉さん、
私たちもそろそろお別れしなくちゃなりませんねっ」
恵ちゃんがそう言った。
そういえば俺たちが帰る神武寮は女子寮とは別の方角だ。
「じゃあ、
神子さん、加茂くん、明日ね」
「それではお別れですね。
明日お会いしましょう」
河合さんと澤井さんも手を振った。
美少女たちは去った。
そして俺と恵ちゃんは二人きりになったを言う訳だ。
ちょっとばかし、寂しく感じる。ま、でも明日会えるしな。
「なんのかんのと言っても、
初日早々いろいろあって疲れたな」
俺は神武寮の方角に足を向けた。
そのときだった。
「大吉さん、
まだ用事は終わっていませんよっ」
「はいっ?」
俺の前で両手を広げて、
恵ちゃんが立ちはだかった。
「なんのつもりだ?
寮に帰らないのか?」
「行くところがまだありますっ。
あっちですっ」
恵ちゃんが俺の袖を引っ張った。
「あっちって、
全然別の方角じゃんか?」
「まだ買い物があるんですっ」
なんのことだ?
俺は幾ばくかの疑問を持ったが黙って着いて行くことにした。
そして着いたのはホームセンターだった。
「林間学校に必要なものは、
もう買ったぞ?」
俺はなんのことだかわからなくて、
そう尋ねていた。
「あーっ、大吉さん、
完全に忘れていますねっ?」
「はいっ?」
俺はなんだろう?
と思い出そうとした。だがさっぱり思い出せない。
「神棚ですっ」
「あー、そう言えば」
思い出した。
確かにホームセンターに行けば買えるって言ってたな。
「本当に買うのか?
俺はてっきり冗談だと思ってたぞ」
「本気ですっ」
恵ちゃんは俺の手を引っ張って、
ぐんぐん店の中へと入って行った。
それから三分後である。
「……高いな」
俺は木材売り場の近くに設置された、
神棚売り場の前でそうつぶやいた。
小さなものから立派なものまでラインナップがあるんだが、
安いものでも五千円はするのだ。
「なんに比べてですか?」
「さっき、
ペット用品売り場で木製の小鳥の巣箱を売っていた。
それなら千円以下だったぞ」
俺はそう言った。
そのときだった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




