278話 煙の中で違和感なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「じゃ、じゃあ、攻撃を再開するぞ」
俺がそう宣言する。
「わかりましたっ」
「承知よ」
「ふぉふぉふぉ。了解じゃのう」
すると三女神たちから返事がある。
なので俺はアサルトライフルの引き金を引く。狙いはもちろん約束通りダイキチーナだ。するとダイキチーナも俺に向かってライフルを乱射してくるのがわかった。
大丈夫。
当然、俺の身体に当たっているんだが痛みもなにもない。
つまり無駄な攻撃なのだ。
――ダダダダダ。
――ダンッ、ダンッ、ダンッ。
――グシャグチャ。
――ドッカーン!
周囲に敵味方互いの攻撃が飛び交う。
それと同時に爆煙も一斉に上がり、たちまち視界が悪くなる。
そのため俺はダイキチーナの姿をロストした。
「困りましたっ」
「そうね、見えなくなってしまったわね」
「ふぉふぉふぉ。爆煙でなにも見えぬのう」
そうなのだ。
ここはゲーセンと言う狭い空間なのだ。
天井もあり両側の壁との間もそれほど距離はない。
なのでこのようにドンパチを始めるとあっという間に視界不良となって相手が見えなくなってしまうのだ。
「向こうも撃って来ないようだな」
俺は射撃を止めたまま、そう言う。
「そうですねっ。見えないからでしょうかっ」
「まあ、弾の無駄よね」
「ふぉふぉふぉ。煙が晴れるまで仕方ないのう」
そんなことを言い合っていたら、やがて徐々にだが煙が晴れてきた。
すると向こうに4人のシルエットが浮かぶ。
まだそれほどダメージを与えていないようだ。足取りもしっかりしていているのが輪郭だけだがわかる。
するとその瞬間だった。
向こうから射撃が再開されたのだ。
なので俺もアサルトライフルを構え直す。
そして引き金を引く。
ダダダダダと軽快な音を立てて弾丸が発射される。
「……ん? 待てよ」
俺は射撃を止めた。
まだ煙が残っていてはっきりと視認はできないのだが、俺が相手をしているはずのダイキチーナが手にしている武器がライフルじゃないのがわかったのだ。
「……斧?」
そうだった。
両手にそれぞれ片手斧を持っている。
……おかしい。
そう思った。斧を持っているのは呂姫ちゃんもどきだったはずだ。
ダイキチーナは俺もどきとしてアサルトライフルを持っていたはず。
なのに武器が違うのだ。
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ」
「ええっ、ちょっと変よ」
「ふぉふぉふぉ。いつの間にかじゃのう」
そのとき俺が感じたのと同じ疑問を持ったようで、恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃんから戸惑いの声が聞こえてきたのだった。
なにか違和感があるのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。