275話 予想だにしない相手だったのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「……しかし、このゲーセンどこまで続くんだ?」
遥か先は霞んで見える。
そこまで延々とゲーム筐体が並んでいるのが確認できるので、俺は思わずぼやいた。
「わかりませんっ。でも行くしかないですっ」
「そうね。引き返しても帰れる可能性はないし」
「ふぉふぉふぉ。このまま臥留子に会わずに帰るのも癪だしのう」
恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃんがそう答えてくれる。
そうなのだ。
俺たちはそもそも臥留子ちゃんに会うためにここにいるのだ。
決してモンスターたちと戦うのが目的じゃない。
だけど行く手を遮ってくるのだから戦闘するのは仕方ないのである。
「また長持を見つけたら教えてくれ」
「そうですねっ。攻略に必要なアイテムが入っているかもしれませんよねっ」
「わかったわ。レイスの件では懲りたし」
「ふぉふぉふぉ。なにが役立つかわからんからのう」
そんな会話をしながら俺たちは進んでいた。
そしてそんな頃だった。
「あれっ? なにか見えますよっ」
恵ちゃんが前方を指さした。
すると確かになにかが見えた。
……人? 人のように見える。
「なにかしら? 人間に見えるわね」
「ふぉふぉふぉ。しかも女みたいじゃのう」
そうだった。
確かに腰まで伸ばしている長い髪や、短くてもショートボブくらいの髪型がシルエットとなって見えている。確かに女性だろう。
その人数は4人。
「なんだ? 今度は人間が相手なのか?」
「そうなんですかねっ。あ、手に武器を持ってますよっ」
恵ちゃんの言う通りだった。
まだ距離があるのでシルエットのままだが、その手には銃や斧らしきものを持っているのが見えたのだ。
武器を持っている。
それだけで警戒するには十分過ぎる理由だ。
俺たちはそれぞれの武器を身構えて進み続ける。
そしてだいぶ距離が近づいたときだった。
相手の姿がかなりわかるようになったのだ。
「……げ。あれって……」
俺は思わず絶句した。
なぜならば、それはよく見知った人物にとてもよく似ていたからだ。
「ええっ! あれって私たちじゃないですかっ?」
「そ、そうみたいね。あれは私たちね」
「ふぉふぉふぉ。でも1人は違うのう。あちらは全員女じゃのう」
そうなのだ。
向こうから接近してきた人物たちは、ひとりが恵ちゃん、ひとりが呂姫ちゃん、ひとりが集子ちゃん、……そして最後のひとりはダイキチーナだったのだ。
「俺じゃなくて、ダイキチーナかよ!」
「なんで大吉さんじゃなくてダイキチーナちゃんなんでしょうっ?」
「さあ、理由はわからないわ。でも、なんだかやる気満々みたいよ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。殺気が漲っておるのう」
そうなのだ。
俺たちと瓜二つの相手たちは攻撃の意思が感じられた。
なぜならば恵ちゃんもどきはショットガンを呂姫ちゃんもどきは片手斧を2本、集子ちゃんもどきは手榴弾、そしてダイキチーナはアサルトライフルを身構えていたのだ。
相手はやる気満々なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。