273話 レイスを倒せたのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
俺は駆ける。駆ける。
すぐに息が上がり、ぜえぜえとしながらも駆ける。
ふだんもっと運動しておくべきだったな、と反省もする。
ちらりを振り返ると1匹だけレイスが俺を追って来る。
フヨフヨと浮きながら左右に身体を揺らして迫ってくるのだ。
「……チキショウ。どこだ?」
俺は走りながらもゲーセン内部に目を配る。
数多くあるのはもちろんゲーム筐体で音と光と映像を垂れ流している。
なので長持ではない。長持はもちろん音も光も映像も出ないしな。
そんな中、背後のレイスを気にしながらも俺は走り続けた。
そして、やっとあった。
ゲーム筐体に囲まれた一角で音も光も映像も出していない真っ黒な大きな木製の箱だ。
「あれだ」
俺は長持の前で急ブレーキをかけた。
そして素早く蓋を開けた。すると中にはたくさんのスタングレネードがある。
俺はその一個を掴み起動させ、フヨフヨと迫ってくる空中のレイスに向かって投げるのであった。
――ドッカーン!
すさまじい音と目がくらむような光が出現した。
だが、やはりこの空間の仕様なのか、俺の目と耳にダメージはない。
そして辺りが暗くなり静まった。
見ると……。レイスの姿がなかった。
念の為、辺りを念入りに確認したのだが、やはりいない。
どうやら消滅したようだ。
「……これが正解だったようだな」
俺の予想は当たっていた。
レイスはスタングレネードの強烈な光で浄化され消滅してしまったのだ。
これなら行ける。
俺は持てるだけのスタングレネードを抱えて元来た道を戻るのだった。
そしてしばらく歩くと前方にフヨフヨと浮かぶレイスの群れが見えた。
更に近づくと直視しては罪になりそうな状態で正座している集子ちゃん、呂姫ちゃん、そして恵ちゃんの姿が見えるのであった。
「待ってろよ」
俺はスタングレネードをポイポイとレイスの群れに放り込んだ。
――ドッカーン! ドッカーン! ドッカーン!
するとすぐに炸裂して辺り一帯を閃光と轟音が包み込む。
そしてしばらくすると静かになる空間。
見るとあれだけいたレイスの群れが綺麗サッパリいなくなっていたのであった。
「……これで終わりか?」
そう思って三女神を見ると、まだ解決していなかった。
3人ともトロンとしたまま裸の状態できちんと正座したままだったのだ。
「どうすればいいんだ?」
俺は考える。
この3人はレイスに取り憑かれたのだ。
そして服を脱ぎ捨てて全裸になって正座をしてしまったのだ。
だとすると、まだ彼女らの体内にはレイスが残っている可能性がある。
俺は試しに集子ちゃん、呂姫ちゃん、そして恵ちゃんの手にスタングレネードを握らせた。そして起動させる。
――ドッカーン! ドッカーン! ドッカーン!
再び閃光と轟音に周囲一帯が包まれた。
あまりの眩しさで三人の輪郭すら見えなくなる。
しかしやがて光と音が静まったのだった。
威力抜群なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。