269話 今度は呂姫ちゃんが捕まったのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
俺たちはただ呆然としていた。
距離を取って正座する集子ちゃんの様子を見ているのだ。
だが、集子ちゃんは座ったまま微動だにしない。
「……どうすんだ、これ?」
「わかりませんっ。様子見じゃないですかっ」
「そうね。まだレイスはたくさんいるんだし」
俺たちは振り返る。
するとそこには宙を漂うレイスの群れがふわふわと浮いている。
「なんとかしなきゃ、だな」
「でも、どうしますっ?」
「そうよね。攻撃は一切通用しないんだから……」
俺たちに打つ手はない。
アサルトライフル、ショットガン、片手斧では攻撃が素通りしてしまい通用しないのだ。
そんなときだった。
「ヒョォォォォ~」
レイスの群れに動きがあった。
いちばん手前で浮いていたレイスの1匹が叫び声とともに近づいて来たのだ。
「まずいぞ」
「はわわ。どうしましょうっ」
「なんとか避けるしかないわ」
近づいて来たレイス1匹が俺たちの目前に迫った。
俺、恵ちゃん、呂姫ちゃんは慌てて身体を移動させる。
憑依されないように避けているのだ。
最初のうちは簡単に避けられた。
だが、レイスだけを見ながらの移動なので俺たちは互いの身体がなんどかゴツンとぶつかってしまう。
「痛てーぞ」
「もう、痛いですっ」
「ちょっと、ちゃんと避けてよ」
そんな風に互いに責任を押し付けるような会話をしていた。
だが、やがて事態が悪化した。
俺とぶつかってしまった呂姫ちゃんが転倒してしまったのだ。
「い、痛~い」
「ああ、ごめん」
俺は倒れた呂姫ちゃんに手を差し伸べた。
そして呂姫ちゃんが右手を伸ばして来る。
そんな瞬間だった。
「ヒョォォォォ~」
レイスが呂姫ちゃんの身体に入ってしまったのだ。
倒れていた呂姫ちゃんは接近に避けることが間に合わず憑依されてしまったのだ。
「……コロス」
呂姫ちゃんはいきなり立ち上がった。そして片手斧を両手に持って振り上げている。
目はトロンとしていて焦点が合ってないが、間違いなく俺と恵ちゃんを見ている。
「ま、まずいぞ」
「これは大変ですっ」
俺と恵ちゃんは呂姫ちゃんから離れ、距離を取るのであった。
だが、そんな俺たちにお構いなく呂姫ちゃんは身体をユラユラと左右に揺らしながら近づいて来る。
もちろん両手には斧を持っている。
「……たぶん攻撃は無効だと思うけど」
「……やっぱり刃物は怖いですっ」
俺と恵みちゃんは呂姫ちゃんに背を向けて逃げた。
うわあ、とか、ひゃ~、とか言いながら左右に逃げ回る。
そんな俺たちを呂姫ちゃんが追い回す。
そんなときだった。
呂姫ちゃんが怖いのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。