258話 片手じゃ戦えないのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
そして俺たちは歩きを再開した。
目指すはこのゲーセンの更に奥だ。
きっと次の部屋なり屋外なりの新たな展開があるはずだ。
俺は今、先頭を歩いている。
なぜならば、恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃんの三女神が下だけ履いた下着姿だからだ。
みんな左手で胸を隠して右手には武器を持っている。
恵ちゃんはショットガン、呂姫ちゃんは片手斧(ただしのちに両手で使えることに期待を込めて2本持っている)、そして集子ちゃんは手榴弾だ。
それにしてもだ。ちらりと振り返って彼女たちを見たのだが、下だけと言う下着姿も妙にエロい。
「早く上の下着も返して欲しいですっ」
「条件はなんなのかしら? またモンスターを倒すこと?」
「ふぉふぉふぉ。そんな気がするのう」
三女神たちがそんな会話をしている。
なるほど、と思った。
確かにそこいらに服が置かれていないことを考えると、なにかをクリアしないと返してもらえないという条件は正しそうだ。
だとすると、またこれからもモンスターたちと戦わなくちゃならないんだろうな……。
そう思うとうんざりだ。
スライムに始まって、スケルトン、そしてゴブリンと来たのだ。
またファンタジー世界の魔物が登場するんだろうと予感できる。
「大吉さんっ。お願いがあります」
背後にいる恵ちゃんが話しかけてきた。
「なんだ?」
「……もしまたモンスターが現れて戦いになっても決して後ろは振り返らないでくださいねっ」
「……わかった。だがいちおう訊く。なんでだ?」
「わかるでしょ? あなたに見られていたら、私たち片手しか使えないのよ」
「ふぉふぉふぉ。片手じゃ戦えんのう」
なるほどな。
武器を使うには確かに両手だろう。
だとすると胸が隠せない。そういう訳か。
「わかった。じゃあこのまま俺を先頭にして戦うことにしよう」
そんなときだった。
霞んで見えない遥か彼方からなにかの鳴き声が聞こえてきたのだ。
「……動物でもいるのか?」
「なんか動物っぽいですね。群れが一斉に鳴き声を出している感じですっ」
「そうね。なにか聞き覚えのある鳴き声ね」
「ふぉふぉふぉ。儂にはイヌの鳴き声に聞こえるのう」
そうなのだ。
確かに集子ちゃんが言う通り、遥か前方にいると思われる群れからはワンワンと言ったイヌのような鳴き声が聞こえてきたのだった。
「……まさかイヌと戦うのか?」
イヌ好きである俺にはちょっとできそうにない。
戦闘中は振り向けないのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。