257話 中途半端なのです。
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「どうやら終わったようだな……」
「そうですねっ。これで安心ですっ」
「はあ~。一時はどうなるかと思ったわ」
「ふぉふぉふぉ。終わり良ければ全て良しじゃのう」
恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃんの三女神たちの顔には安堵が浮かんでいた。
笑顔だ。
心底、ホッとしたんだろうな。
ところがである。
「ちょ、ちょっとおかしいですっ」
「そうね。おかしいわね」
「ふぉふぉふぉ。おかしいのう」
今度は三女神たちは困り顔になった。
それもそのはずだ。
ゴブリンたちはすべて倒して消滅させた。
なのにである。
服が戻ってこないのだ。
「ちょっと大吉さんっ。あんまり見ないでくださいっ」
「そうよ。……なにか身の危険を感じるわ」
「ふぉふぉふぉ。加茂大吉も男じゃからのう。危険が完全に去ったとは言えんわい」
心外である。
俺は服が元に戻るかどうかチラッと確認しただけなのだ。
だが、やはり女神たちの申告通り服も下着も戻らずで、彼女たちは全裸のままで右手と左手で身体を巧みに隠している状態だ。
「……と、とにかくだ。なんか探さないとだな」
俺は辺りを見回す。
だがここはゲーセン。ゲーム機なら売るほどあるが服や服の代わりになるもの。例えばシーツとかを探すが、もちろんそんなものはない。
「困りましたっ。このままじゃ移動ができませんっ」
「そうね。戦うのも無理よ。加茂くんに見られちゃうし……」
「ふぉふぉふぉ。困りものだのう」
ホントに困った。
俺の着ているTシャツを貸すことは構わないが、それでも一人分にしかならない。
「しかし、臥留子ちゃんはなにを考えているのでしょうっ」
「腹立つわね。きっと私たちが困っているのをどこかで見て楽しんでいるのよ」
「ふぉふぉふぉ。せめて下着だけでも返してくれんかのう……」
すると変化があった。
天井からキラキラと光の粒が三女神たちに降り注いできたのだ。
そして恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃんは眩い光に包まれ姿が一瞬見えなくなる。
「ああ、服が戻りましたっ……。でも、あれっ?」
「下だけね。しかも下着だけ」
「ふぉふぉふぉ。上は返してくれんようじゃのう」
そうなのだ。
恵ちゃんたちに下に履く下着だけが戻っていたのだ。
だが服はもちろん胸を隠す上の下着は戻ってこなかった。
「これじゃ自由になるのは片手だけですっ」
「でも片手には武器は持てるわね」
「ふぉふぉふぉ。儂の願いを中途半端に叶えてくれた感じじゃのう」
そうだった。
集子ちゃんはせめて下着だけでも返してくれればと言っていたはずだ。
それを臥留子ちゃんは半分だけ叶えた感じだろうか。
「……でもまあ、移動しようか」
俺はそう提案するのであった。
下だけ返った来たのです。(`・ω・´)∩
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私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。