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25話 一万円札です。

【毎日昼の12時と夕方の18時に更新します】


この物語は毎話毎話が短いです。

それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。

……決して、私の手抜きではありません。

……きっと。(´・ω・`)ショボーン。





「この店にあるメニュー全部ですっ」




「……は?」




 俺はなにか聞き間違いしたと思った。

 いや、絶対に聞き間違いだと思いたかった。




「すごいな。

 バーガーを大人買いするつもりか?」




 俺は平然を装った。

 どうせ冗談のつもりだろう。




「はいっ。

 どーせなら全部食べたいですからねっ」




 本気のようだった。




「……あのなあ」




 俺は恵ちゃんの手を引いた。




「メニュー全部って、

 どれくらいになるのかわかってんのか?」




「大丈夫ですよっ。

 バーガーの種類だけなら十種類くらいですからっ

 そのくらい、ぜんぶ食べられますっ」




「違うっ! 

 金額だっ!」




 俺の心配はそこだった。

 なんせ賽銭が少ないってぼやいていたくらいなんだから、

 どう考えても金持ちの神様には思えないからだ。




 だが恵ちゃんは俺の心配をよそに、

 通学バッグから財布を取り出した。




「ほら、

 ちゃんと持ってますよっ」




 恵ちゃんは、

 俺に見せびらかせるかのように一万円札を見せつけた。




「んー。

 どれどれ」




 俺は恵ちゃんの財布から札を抜き取ると、

 明かりに透かしてみた。




「大吉さんっ、

 なにしてるんですっ?」




「あ、いや、

 本物かどうか調べている」




「失礼なっ!」




 恵ちゃんはそう憤慨すると、

 ジャンプして俺から札を奪った。




「本物に決まっていますっ」




「……お前、

 金持ってんだな」




 俺がそう感心すると、

 恵ちゃんはニヤアとほくそ笑んだ。




「実はこれには、

 ()()()()があります」




「まさか賽銭じゃないよな。

 ……もしかすると誰かの財布から抜き取ったとか?」




「失礼なっ!

 盗みなんてしませんっ。

 落ちていたのを拾ったんですっ」




 俺は恵ちゃんの耳を引っ張った。




「それは間接的に泥棒だぞ。

 ちゃんと警察に届けろ」




「知りませんっ。

 落ちてたんだからいいじゃないですかっ。

 ……あ、あ、嘘です。後で落ちてた場所に返してきますからっ」




 恵ちゃんはうろたえた。

 それはもちろん俺が手刀を頭上に掲げたからだ。




「うー。

 せっかく気前よく大人買いしようと思ったのに……」




 恵ちゃんはしょんぼりしてしまった。




「仕方ない。

 全部は無理だけど二人前くらいなら俺が奢ってやるから」




「ホントですかっ。

 いやー、やっぱり持つべき物は気前の良い氏子に限りますっ」




 現金なもので、

 恵ちゃんはすっかりご満悦な表情だった。




「ねえ、

 なに話しているのかしら?」




 澤井さんだった。

 列はすっかり進んでいて、

 いつの間にか俺と恵ちゃんは取り残されていたのだ。




「なんでもない」




「はいっ。

 なんでもないですっ」




 俺たちは小走りに澤井さんの後ろへと並んだのであった。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み

「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み

「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み

「墓場でdabada」完結済み 

「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み

「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み

「空から来たりて杖を振る」完結済み

「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み

「こころのこりエンドレス」完結済み

「沈黙のシスターとその戒律」完結済み


 も、よろしくお願いいたします。


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