242話 なぜか長持があったのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
そこはかなり広かった。
今までの蔵とは明らかに別の新たな空間になっているのがわかった。
そこには対戦ゲームの筐体がいくつも並び、別側にはクレーンゲームなどもたくさん置かれていた。
そしてすべてのゲーム機には電源が入っており、にぎやかな音楽や映像が流れている。
なのにである。
「……誰もいませんねっ」
そうなのだ。
まるで真昼のゴーストタウンのように人っ子一人いないのだ。
「まあ、臥留子ちゃんの神力の空間だからな。お客が誰もいなくても不思議じゃないな」
「でも、どうしてここにゲーセンがあるのかが疑問よね?」
「ふぉふぉふぉ。臥留子のことじゃ。なにか企みがあるんじゃろうな」
俺たちはゲーセンの中を歩いた。
左右に並ぶゲーム筐体を眺めながら奥に奥にと歩いて行く。
にぎやかなのに誰もいないシュールな空間だった。
「……どこまで続くんだ?」
「さあ、どこまででしょうかっ」
「まさか同じ場所をぐるぐる周っているだけってことないでしょうね?」
「ふぉふぉふぉ。少しずつゲームが変わっているからそれはないじゃろう」
集子ちゃんの言う通りだった。
最初はビデオゲームが多かったのだが、今はエアホッケーのような身体を実際に動かすゲーム台が並んでいるので、進んでいるのは間違いないようだった。
そして更にしばらく進んだときだった。
ゲームの機械やら台やらに混じって妙に違和感のあるものが置かれていたのだ。
それはさっきまで見慣れたものだった。
「なんでゲーセンに長持があるんだ?」
「不思議ですねっ。なにか意味があるんでしょうかっ?」
「開けてみる? 気になるし」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。なにか入っているかもしれん」
そういう訳で俺たちは長持の蓋に手をかけた。
「よし、開けるぞ」
「わかりましたっ」
蓋をそっと開ける。
そして中を見たのだった。
「ねえ、なんでこんなのが入っているのかしら?」
「ふぉふぉふぉ。意味不明じゃのう」
そうなのだ。
長持の中にはたくさんの武器が入っていたのだ。
「ショットガン、アサルトライフル……」
「斧とか棍棒とかもありますねっ」
「刀や剣もあるわね」
「ふぉふぉふぉ。手榴弾もあるのう。物騒じゃわい」
なにに使うのか不明だが、そこには通常空間では銃砲刀剣類所持等取締法とかに引っかかるようなものがたくさん置かれていたのだ。
「これを使う必要があるってことか?」
「考え過ぎじゃないですかっ。ここはゲーセンですよっ」
「そうね。……でも見るからに本物よね、これ」
「ふぉふぉふぉ。臥留子は儂らになにかと戦わせるつもりなのかのう」
互いに疑問を言いながら俺、恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃんは顔を見回した。
そして、そんなときだったのだ。
長持の中には武器ばかりなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。