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24話 初めてなんです。

【毎日昼の12時と夕方の18時に更新します】


この物語は毎話毎話が短いです。

それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。

……決して、私の手抜きではありません。

……きっと。(´・ω・`)ショボーン。






「バーガーですよっ。

ハンバーガーっ!」




 恵ちゃんがニヤリと笑顔になる。




「ハンバーガーがどうしたって?」




 俺は意味がわからずそう質問する。




「あー、

 わかっていませんねっ」




「ああ、わかった。

 新作のあずきバーガーだろう? 

 俺はまだ食べていないが、ネットでは割と評判がいいらしいぞ」




 俺は恵ちゃんの答えを予測してそう答えるが……。




「ち、違いますっ。

 もちろんあずきバーガーもそうですが、私はハンバーガーを食べたことがないんですっ」




「「「「な、なんだってっ!」」」」




 俺は叫んだ。

 いや、俺だけじゃなくて河合さんも澤井さんも新井も同時に叫んでいた。




「ハンバーガーを食べたことないって、

 ……神子さん、本気?」




 河合さんが歩み寄り、

 背の低い恵ちゃんのおでこに手を当てた。

 どうやら熱を測っているようだが、俺もその気持ちがわかる。




 いったいなにが言いたいんだ? 

 見れば澤井さんも新井も不思議そうに恵ちゃんをながめている。




「熱はないみたいだね」




 河合さんが手をのける。




「あーっ。

 ふざけていませんっ。ホントの本気ですぅ」




 心底心外だと言う感じで恵ちゃんが憤慨している。




「ってことは神子さんの生まれた街に、

 バーガーショップがなかったってこと?」




 新井が尋ねた。




「んなことありませんっ。

 証拠にここにもあそこにも……」




 恵ちゃんはどうだとばかり指を指す。

 その先には見覚えあるデパートが見えた。あれは確か恵ちゃんの祠がある場所だ。




 ――そうだった。恵ちゃんはここの街出身である。

 いや、この街が生まれる以前からこの街に存在していたことを思い出したのだ。




 俺はあわてて恵ちゃんの口をふさいだ。

 恵ちゃんはなにごとかともごもごと声にならない声で抗議する。




「と、とにかく店に入ろう」




 俺は冷や汗ものでそう提案する。

 恵ちゃんが神様であることは内緒だからだ。




「そうね。

 お腹すいちゃったから入りましょうよ」




 澤井さんが笑顔で答えてくれた。

 俺は助かった気持ちになる。




「ほーお、

 これがバーガーショップですかっ」




 店内は昼時で混んでいた。

 俺たちが列のいちばん後ろに並んだとき恵ちゃんは物珍しそうにそう言う。




「お前は本当に初めてなんだな」




「そうですよ。

 神様がこんな場所に入る訳ないじゃないですかっ。

 あ、おそば屋さんみたいに神棚があれば別ですけど」




「そうなのか?」




「はい。

 神棚があればそこに祀られている訳ですから、入れます」




 なるほど、と思った。

 神様には神様の世界観がちゃんとあるらしい。




「加茂くん、

 神子さんはなににする?」




 先頭に並ぶ河合さんが尋ねてきた。




「俺は、

 ……そうだな、あずきバーガーのセット」




 俺は期間限定の商品を頼むことにした。

 どうせなら食い飽きた感がする既存のものよりも新しいものを試したいたいからだ。




「……私はですねぇ」




 俺が恵ちゃんをうながすと恵ちゃんは目を細めてほくそ笑んだのだ。 



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み

「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み

「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み

「墓場でdabada」完結済み 

「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み

「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み

「空から来たりて杖を振る」完結済み

「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み

「こころのこりエンドレス」完結済み

「沈黙のシスターとその戒律」完結済み


 も、よろしくお願いいたします。

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