238話 たぶん合ってる長持の法則なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「なあ、支払いはどうするんだ?」
「そう言えばそうですねっ。店員さんがいませんっ」
「……そもそもいくらなの? 値段が書いてなかったわよね。ボッタクリとか嫌なんですけど」
俺たちは店内を改めて見回した。
やっぱり店員はいないし、レジらしきものも見当たらない。
壁に品書きもないし、テーブルにメニューもないのでそれぞれの価格もわからない。
「このまま出るのも気が引けるんだよな」
「このままじゃ無銭飲食って感じですっ」
「……相場の値段分のお金を置いて行くのはどうかしら?」
「それだな」
そして俺と恵ちゃん、呂姫ちゃんはそれぞれ財布からお金を出した。
まあ、800円くらいだろうと検討をつけてテーブルの上に置いたのだった。
そして店を出た。
するとさも当然のように部屋に置かれている長持が目についた。
「いちおう確認しておくか?」
「そうですねっ。もうお約束ですっ」
「まあ、いちおうは見ておいた方が良さそうね」
そういうことで俺たちは長持の蓋に手をかけた。
そして開ける。
ギギギと硬い音がする。
「あったな」
「……ありましたねっ」
「今度は100円玉ね。ま、500円の下だから予想はしていたけどね」
そうなのだ。
大きな長持の底には100円玉がポツンと置かれていたのだ。
「これになんの意味があるんだろうな?」
「……意味、あるんでしょうかねっ」
「臥留子の考えることよ。私たちにわかる訳ないじゃない」
呂姫ちゃんの言葉に俺と恵ちゃんは納得するのだった。
確かに疫病神:山井臥留子ちゃんはいつもなにを考えているのかさっぱりわからないのだ。だから、この件はこれ以上考えるのを止めることにした。
そして俺たちははもはやお約束の傾斜のきつい木造の階段を登った。
するとまたしても長持がポツンと置かれる板張りの部屋だった。
そして開けてみる。
「完全に予想通りだな」
「ですねっ」
「ってことはまだ続くってことよね」
長持の底には50円玉がポツンと置かれていた。
100円玉の下で50円玉。
こうなるともう簡単に予測がつく。
「ってことは、次の階は10円玉、そしてその次が5円玉、そして最後に1円ってことか」
「ってことは最低であと3階は登る必要がありますねっ」
「そして1円玉の部屋にはなにかがあるってことかしら?」
俺たちはそんな予想をしながら更に上の階へと登るのだった。
たぶん残りの階数はわずかなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。