237話 臥留子ちゃんの仕掛けなのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「熱いので食べるのが大変ですっ」
もわもわと湯気を立てるきつねうどんは見ているだけでも熱そうだった。
それを恵ちゃんはふーふーと息を吹きかけて食べているがそのスピードは遅い。
「俺も温かいたぬきそばにしちゃったんだよな。……冷やしたぬきそばにすれば良かったな。失敗したよ」
「……そうね。私もそうだわ。冷房がちょうどいい感じで効いているから、ついつい温かい蕎麦にしてしまったのよね」
そんなことを言っているときだった。
「え! いつの間に」
呂姫ちゃんが驚きの声を上げた。
それもそのはずで、なんの前触れもなくいきなり鴨南蛮そばが目の前に出現したからだ。
「……まあ、届いたってことでいいんじゃないか?」
「そ、そうね。……じゃあ、いただきます」
呂姫ちゃんは割り箸を割って、七味唐辛子を少々入れてから蕎麦を食べ始めた。
でもやはり熱いようで、恵ちゃん同様にふーふーと息を吹きかけて冷まして食べている。
「大吉さんのたぬきそば、届きませんね」
もう二人が半分以上食べた頃だった。
恵ちゃんが俺の方を見て言う。
「そうだな。いい加減文句も言いたい気がしているんだけど肝心の店員さんがいないんじゃ仕方ないしな」
そう言ったときだった。
「うおっ! ……びっくりした」
突然、なんの前触れもなく俺の目の前に蕎麦が出現したのだ。
「……冷やしたぬきそば……だな」
そうだったのだ。
届いたのは丼ではなく皿に盛られた冷やしたぬきそばだったのだ。
「……さっき、大吉さんが冷やしたぬきそばのすれば良かったって言ったからでしょうかっ?」
「そうかもね。こちらの意思をちゃんと考えてくれたのかしら」
「考えても仕方ない。まあいいか」
そして俺も食べ始めるのだった。
冷やしたぬきそばはもちろん熱くないのでするすると食べられる。
なので俺が食べ終わったのは恵ちゃんと呂姫ちゃんと同時だった。
「「「ごちそうさまでした」」」
「あれ? 注文が届いたのはバラバラだったのに食べ終わるのはいっしょでしたねっ」
「……確かにそうだな。でも、なにか意味があるのか?」
「わからないわ。……でも臥留子のことだから届けるのを同時にしたのではなくて、食べ終わるのを同時にしてみたかったとかいう変な理屈でもあるのかもしれないわ」
「ありそうですねっ。臥留子ちゃんですからっ」
女神たちは同時に食べ終わったことを臥留子ちゃんの仕掛けたものだと思っているようだった。
まあ、俺にはどうでもいいことだけどな。
で、そこで問題が起きたのだった。
食べ終えたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。