235話 料理店なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
そしてまた上の階に登った。
そこもやはりまったく同じ造りの部屋で中央には長持が置いてある。
だが、それ以外に今までとは異なるものがあった。
扉だ。
壁に扉が2箇所ある。
そしてそれは見ただけでそこがなにであるかわかるプレートが表示されていた。
青い人型のものと赤い人型のプレートがそれぞれの扉に設置されていたのだ。
「トイレだな」
「トイレですっ」
「トイレね。やった助かったわ」
俺たちは喜々としてそれぞれ男子トイレ、女子トイレに入った。
もしかしたらこのトイレにもなにか仕掛けでもあるんじゃないかとちょっと疑ったのだが、嬉しいことに普通のトイレであった。
「助かったな」
「すっきりしましたっ」
「私、限界だったから安心したわ」
トイレが終わった後、俺たち3人は部屋に戻った。
そこには相変わらず長持がある。
「やっぱり開けた方がいいんだろうな」
「そうですねっ」
「なにが入っているのか、やっぱり気になるのよね」
そういう訳で俺たちは蓋を持ち上げた。
「……なにもないのか?」
そこには今までのようにお札が入っていることはなかった。
「あ、待ってくださいっ。なにかありますっ」
「ホントね。なにか小さいものがあるわ」
そう言った呂姫ちゃんが長持の中に手を入れた。
「……500円玉だな」
「今度は硬貨ですかっ」
「まあ、千円札の下は確かに500円になるわね」
いったいどういう意図で臥留子ちゃんはこんなことをするのか不明だが、今まで通りに俺たちはお金を長持の底に戻す。
「けっきょくまた登るのか……」
「……それしかないですよねっ」
「……お腹空いたわ」
俺たちはまたもや傾斜のきつい階段を登るのであった。
「……やっぱり同じか」
登り切るとやはり同じ造りの部屋だった。
そして長持もある。
「……ああっ、なにか奥に入り口がありますよっ」
「そうね。なんだかガラスケースみたいなものもあるわ」
恵ちゃん、呂姫ちゃんの言う通りだった。
長持の向こうの部屋の奥にガラス戸があり、その脇になにかを展示したガラスケースがあったのだ。
「食堂か?」
「そうですねっ。お蕎麦屋さんみたいですっ」
「食べ物の見本があるわね」
ガラスケースの中には蝋細工の商品見本が並べてあった。
街の飲食店で見かける商品メニューの見本と同じものだった。
トイレも食堂もあったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。