234話 ループみたいに続くのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
そして開ける。
中身は空……。ではなかった。
「また紙が入っていますねっ」
そう言って恵ちゃんが手を伸ばす。
「またお札ですっ。五千円札ですっ」
恵ちゃんが手にしたお札を俺と呂姫ちゃんに見せてくる。
「……なにか意味があるのか?」
「さあ、……臥留子の考えていることなんてわからないわ」
俺たち3人はしばらく互いに顔を見回した。
だが結論はなにも出なかった。
「……ま、まあ、とにかく、なんだ……。持ち主ははっきりわかっているんだから元に戻しておくか」
「そうね。それがいいわ」
「わかりましたっ。じゃあ戻しますっ」
恵ちゃんは長持の底に五千円札を戻す。
「そして例のごとくまた階段があるわけだ」
「そうですねっ」
「……また登るしかないんでしょうね」
仕方なく俺、恵ちゃん、呂姫ちゃんは傾斜のきつい階段を登るのであった。
そして次の階。
またしても部屋の中央には長持があった。
「なんか同じ場所をループしてるんじゃないか?」
「私もそんな気がしていますっ」
「でも他に行き先なんてないわよ」
そうなのだ。
部屋には扉なんかは一切なくて、あるのは階段だけなのだ。
「とりあえず、また長持を調べるか」
「……私、中身がなにかわかっちゃった気がしますっ」
「そうね。私もそんな気がするわ」
そして調べる。
「……今度は千円札ですっ」
「お札の価値が階段を登る度に下がる法則か」
「でもなんの意味があるのかわからないわ」
確かにそうである。
「ま、仕方ない。上に行くか……」
そのときだった。
「……なんか疲れてきましたっ。トイレにも行きたいですっ……」
「それはそうね。……それにお腹も空いてきたわ」
「確かにな。もう何時間進み続けているのかわからないな」
「なんだか腹が立って来ました。もう直接、臥留子ちゃんに電話しますっ」
「その手があったわね。もうくだらない歩きはごめんだわ」
恵ちゃんがスマホを取り出して臥留子ちゃんに電話をかけた。
「あれ……? ダメですっ。ここ、電波が届いていませんっ」
「圏外ってことか?」
「……まあ、ここは臥留子の神力が作った空間なのだから、圏外ってことも仕方ないわね」
なんか残念である。
俺たち3人の顔には疲労感が浮かんでいた。
それはつまりこのまま歩きを続けるしか方法がないことがわかったしまったからだ。
「とりあえず、と、言うか……。しかたなく上を目指すか……」
「……そうですねっ」
「うー。せめて上の階にトイレ、食べ物があればいいのに……」
俺たち3人はまたまた傾斜のきつい階段を登るのであった。
同じような部屋が続くのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。