232話 今度は蔵なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
そしてそれからも歩き続けた。
左右はずっと壁。足元は畳。見えるものに変化がないなんとも苦痛な移動だ。
そんなときだった。
「あれっ? なんか見えてきましたよっ」
恵ちゃんが前方を指さした。
「そう言えばなんとなく壁っぽいな」
「やっと奥までたどり着いたって訳?」
しばらく歩くとぼんやりだった行き先がはっきり見えてきた。
白い壁だった。
「土壁みたいですねっ」
「そうだな」
「え? もしかして行き止まりってこと? 嫌よ。元の場所まで引き返すのは……」
呂姫ちゃんがうんざり顔でそう呟いた。
「あ、なんかありますっ」
壁に到着した俺たちがなにかないかチェックしているときだった。
恵ちゃんがなにかを発見したのだ。
「扉ですっ。持ち手がありますよっ」
それは扉だった。
真っ白な土壁の一箇所に観音開きで開けられそうな扉があったのだ。
「まるで土蔵だな」
そうなのだ。
古い農家屋敷とかで見かける蔵の扉そっくりの造りだったのだ。
「なら、開けてみましょうよ」
呂姫ちゃんが左右の持ち手をそれぞれ掴んで手前に引っ張った。
すると重々しく扉が開かれるのであった。
「ずいぶん分厚い扉だな」
「完全に蔵の扉ですねっ」
そうなのだ。
密封性とか耐火性とかが考慮された分厚い扉だったのだ。
「中に入れそうね……」
呂姫ちゃんが扉内部に顔を突っ込みながら、そう報告する。
「なら入ってみるか」
「そうですねっ。どうせ他に道なんてありませんしっ」
俺たち3人は蔵の中へと入ったのだった。
「暗いな」
目が慣れてないせいもあるんだが、内部は暗かった。
だが上の方からかすかに明かりがあるようでなんとなく配置はわかる。
「そんなに広くないですねっ」
蔵の中は畳で言うと20畳くらいだろうか。
だが、内部にはなにも収納していないのでそれほど狭くは感じないし、埃っぽさもない。
「あ、階段がありますよっ」
「二階に上がれってことかしら?」
「うーん。そうなんだろうな」
奥に二階に登れる階段があった。
蔵独特の木製で傾斜がきつい階段だ。
「ま、登ってみるか」
「そうですねっ」
「そうね。せっかくここまで来たんだもの。行けるとこまで行きましょう」
そうして俺たちは奥に進み傾斜のきつい階段に足を踏み入れるのだった。
畳の部屋の次は蔵だったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「勇者パーティを追いかけて_~転倒魔法しか使えません~」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。