231話 延々とつづくのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「……と、とにかくだ。この部屋に入るしかない訳だ」
俺は狼狽えながらそう口にした。
そうなのである。
この部屋は左右は壁だが奥には襖があるのだ。
なので、そこを通れば行く道があるのだろう。
「そ、そうですねっ。それしかありませんねっ」
「そ、そうね。たくさんのダイキチーナたちは気持ち悪いけど、この部屋に入るしかないわね」
恵ちゃん、呂姫ちゃんが同意する。
「じゃ、じゃあ入るぞ……」
俺はなるべく全裸であるダイキチーナたちを見ないようにして部屋へを足を踏み入れる。
……なんだかおかしな話だ。
ダイキチーナは俺なので、俺が俺の裸をどう見ようと自由な気がするのだが、恵ちゃん、呂姫ちゃんの視線があるのに加えて、俺の心が見てはいけないと訴えているのもあるのだ。
だから、見ない。そう結論づけた。
「みんなこっち見てますねっ」
「なんだか視線が痛いわ」
二人がそう言うので俺はチラリとダイキチーナたちを見る。
すると全員が全員移動する俺たちを視線で追っていた。
20人以上のダイキチーナたちがまったく同じタイミングで同じ動きをするのが、なんとも不気味である。
そんな中、俺たち3人はダイキチーナたちを避けて通って、その背後にある襖の前へとたどり着いた。
「じゃあ開けますっ」
恵ちゃんがそう宣言したので俺と呂姫ちゃんは頷いた。
それを確認すると恵ちゃんはガラリと襖を開けたのだった。
「……向こうが見えないんだが」
「果てしなく広い部屋ですねっ」
「何千畳、いや何万畳あるのかも不明だわ」
そうなのである。
襖の先に広がっていたのは果てしなく遠くまでだだっぴろい畳の間だった。
左右はずっと壁で奥は薄暗くて見通せない。
「行くしかないよな。行けるところまで行くか」
「そうですねっ。ずっと奥まで行ってみましょうっ」
「それしかないわね。他に道はないんだもの」
そう口にしながら俺と恵ちゃん、呂姫ちゃんは部屋に入って歩き始めた。
そして5分が経過して、10分が経過した。
「……まだ続くのか?」
「全然奥へ到着しませんっ」
「……ねえ、私たちが入って来た襖、もうみえなくなっちゃったわよ」
後ろを振り返ると呂姫ちゃんの言う通りで、もう入り口は確認できなかった。
「でも左右に他の部屋に通じる襖がないんだからな」
「まっすぐ進むしかないですっ」
「そうよね。……はあ、まったく臥留子ったら」
俺たちはボヤキながらも歩き続けるのであった。
行き先が見えないのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。