22話 怖がりです。
【毎日昼の12時と夕方の18時に更新します】
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。(´・ω・`)ショボーン。
「私たちが行く先が廃村なのよ。
だからそういう係があるんだよ」
河合さんがそう言った。
だが俺には、
なにが言いたいのかわからない。
「廃村ってことは、
朽ち果てた屋敷とかがあるってことかしら?」
「そう。
澤井さん、話が早いね」
澤井さんの言葉を、
河合さんが受け取った。
「えーと、
……つまり俺たちが行く林間学校ってのは、
公共の施設とかじゃなくて、誰も住んでいない捨てられた村だってことか?」
「そうよ」
河合さんが、
嬉しそうな顔になる。
「I県の過疎地区にある集落で、
冬は雪で閉ざされる山奥の廃村なんだ。
で、そこの空き家に私たちが泊まるって訳」
「なるほど」
俺は頷いた。
ロケーションはわかった。
きっと近くに住宅なんかまったくない山の中なので、
若い人たちがみんな都会に出てしまったことで、
過疎化してしまった地域なのだろう。
それで最後にお年寄りばかりになって、
限界集落となってしまったに違いない。
割と良く聞く話だ。
「だが、それと恵ちゃんの役割が、
俺にはどうも一致しない」
俺は素直に疑問を述べた。
すると河合さん、澤井さんだけじゃなくて、
恵ちゃん、そして新井までもニヤーっと笑う。
「な、なんだ?」
「バカね。
そう言う場所だから肝試し係が必要なんでしょ」
澤井さんが笑顔で言う。
「周りは誰も住んでいないから、
肝試しにはぴったりって言う訳なんだね?」
新井がそう答えた。
「マ、マジかよ……」
俺はうろたえた。
そう、俺は怖いのが苦手なのだ。
もう高校生なのだから、
お化けとかを本気で信じている訳じゃない。
だけど……。怖いものは怖いのだ。
だが俺は、
必死でそれを顔に出さないように努めた。
もちろんそれは、
カッコ悪いからだ。
「あ、もしかして……」
澤井さんが俺を見る。
「加茂くん、
ひょっとして怖いんじゃないかしら?」
「バ、バカなこと言うなよ」
俺は、
ガハハとやせ我慢の笑顔を作る。
だが、そこまでだった。
「大吉さん、
……後ろっ」
突然、
恵ちゃんが叫んだ。
「うひゃあ!」
俺は飛び上がる。
だが振り向いても、そこには誰もいなかった。
「なるほどね。
これはやりがいがあるわね」
河合さんが嬉しそうな顔になる。
「あ、河合さん。
今から私と係を替わるってのはダメですからねっ」
憎らしいことに、
恵ちゃんがそう告げた。
「お、お前なあ」
「お。
私が肝試し係ってのに不満なんですかっ?」
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。