210話 夏の登山なのです。
更新遅れました。すみません。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
それからしばらく過ぎた頃だった。
そのとき俺は神武寮の自室にいた。
もちろん恵ちゃんもいっしょだ。
なんせ同室だからな。気がつけばいつもいっしょである。
だからと言って色っぽい話があるわけではないが……。
そして俺たちは、なんとなくテレビを見ながら宿題を片付けるというダラダラ作業を行っていたのだ。
「あれ? 河合さんから連絡ですよっ」
ふいにスマホに届いたメッセージを見て恵ちゃんが俺に声をかける。
「どんな内容なんだ?」
「ええとですね。明後日に山に登らないかって言うお誘いですっ」
「山? 誰と?」
「河合さんと澤井さん、新井くんとですね。後は私と大吉さんですっ。そして行くのは中尾山です」
「中尾山? ああ、あの有名な観光地か」
俺は中尾山を知っていた。
電車で一時間くらいで行ける上に登りもキツくなくて大きなお寺と門前町もある割と賑やかな観光スポットだ。
「他の女神たちはどうなんだ?」
「それなんですが、なんだか用事があるらしくて行けないそうですっ」
「そうか。まあ、暇でもあるし行こうか?」
「ですねっ。山登り楽しみですっ」
そう答えた恵ちゃんは本当に楽しそうな顔になっていた。
■
そして明後日になった。
現地集合となっていたので俺と恵ちゃんは電車に乗って郊外を目指す。
「行き先と待ち合わせ時間は同じなんだから、案外他の誰かもこの電車に乗っているんじゃないか?」
そう思った俺は恵ちゃんに話しかける。
「そうですねっ。でも……いないみたいですねっ」
車内を見回して恵ちゃんが答える。
車内は夏休みと言うこともあるのか割と混んでいて見回すと乗客がたくさん乗っていた。これじゃ例え同じ車両内でも見つからない可能性があるなと思った。
電車は各駅列車なので次々と駅を停車する。
だが降りた人の分だけ新しい乗客が乗ってくるので車内はやはり混んでいる。
「風景が変わってきたな」
「そうですねっ。だんだん家とかビルとかが少なくなってきて、田んぼとか畑が見えるようになりましたっ」
そうなのだ。
電車はやはり山へと向かっているので住んでいる人の数が減っているのだろう。
だんだん田舎になっているのだ。
そんなときだった。
「……あれ? 反応がありますっ」
「反応? どういうことだ?」
「おかしいですねっ。なんだか神がこの電車に乗っているみたいですっ。わずかですが気配を感じたんですっ」
「知っている神か?」
「わかりませんっ。ホントにかすかな反応なので気配を消している可能性もありますっ」
恵ちゃんはそう答えるのであった。
謎の反応があったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。