206話 新しい標的なのです。
基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「じゃあ始める」
そう言って秀子ちゃんがマレットでパックを打ち込んだ。
直線の動きで俺のゴールを狙ったのだが、俺はそれをなんなく打ち返す。
その弾き返ったパックを今度は秀子ちゃんは斜めにマレットをぶつける。
するとパックはテーブルの端に当たり、反対側に飛ぶ。
そして反対側に当たったパックは再び向きを変えてこちらに突っ込んでくる。
「あ、あぶねー」
俺はマレットでそれを弾いた。
危うくゴールを奪われるところだった。
そうなのだ。
このエアホッケーの難しいところは、この斜めからの攻撃である。
斜めに壁に当たり、跳ね返った先の軌道を読み違えると、そこでゴールを奪われるのだ。
「ち、残念」
秀子ちゃんがそう呟いた。
俺はその言葉を聞きながらも再び斜めに迫るパックを辛うじて打ち返すのだった。
そしていくつかの攻防が繰り広げられた頃だった。
「あ、ああっ……」
やられた。
秀子ちゃんが打ったパックが斜めに迫り俺のゴールを捉えてしまったのだ。
「ち、仕方ない」
俺は手元に出てきたパックを手に取り、ゲームを再開すべくテーブルに置く。
そのときだった。
「……こ、困ったのですっ」
突然、恵ちゃんの声がした。
見ると、恵ちゃんがものすごい格好になっていた。
今日の恵ちゃんは白いキャミソールの上に半袖ジャケットを羽織り、下は黄色いミニスカート姿だったのだが、そのミニスカートが消えていたのだ。
つまり……、下半身が下着姿になっていたのだった。
純白の下着だった。
「ど、どうしたんだ?」
「……たぶん秀子ちゃんの神力です」
「神力?」
俺はその下着をなるべく見ないようしながら考える。
「つまり、俺が得点されたから一枚脱がされたのか……?」
「そうだと思いますっ」
なってこった。
河合さんたちがいなくなったから、今度は四女神たちを標的にしたらしい。
「ま、神力なんて他の人には見えてないから大丈夫なんですけどねっ。あ、大吉さんは見てもいいですよっ」
「見るか!」
恵ちゃんの容姿は小学生並みなのだ。
河合さん、澤井さんならいざ知らず、幼い下着姿など見たくもない。
「ごちゃごちゃ言わない。プレイを始める」
このトラブルの元凶のくせに我関せずの表情で、秀子ちゃんはそう俺にプレイの再開を促すのであった。
狙われたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。