204話 ようやくゲットなのです。
これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
そしてである。
秀子ちゃんの技術は脱帽だった。
俺の落としたイヌのぬいぐるみにクレーンを見事に移動させ、しっかりアームでぬいぐるみのボディを掴み、しっかりとした動作で穴に落としてゲットしたのである。
「う~む」
俺は腕組をする。
悔しいが腕は間違いない。
「やりかたがずるいですけどねっ」
「でも腕は確かよ」
「……わざわざ……加茂くんが落としたのを……取るとは……」
「ふぉふぉふぉ。挑戦的じゃのう」
恵ちゃん、呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんが感想を述べる。
「次はあなたの番」
手にしたぬいぐるみを抱えながら秀子ちゃんが俺に挑戦的な目を向ける。
「……ああ」
俺は考える。
俺は前回ミスした。
だとするとまた今回も俺のプレイ中に河合さん、澤井さんを脱がして悲鳴をあげさせて俺のミスを誘う作戦に出るだろう。
俺は河合さんと澤井さんを見た。
二人とも羞恥のあまり涙目で俺を見る。
次に俺が失敗すれば全裸確定だからだ。
だがそこで二人は無言ながら頷いたのだ。
……それって、俺に任せるってことか?
たぶんそうなのだろう。
二人は自分の身を犠牲にしてまで耐えると言いたいのだと俺は理解した。
そして俺はコインをマシンに投入した。
するとランプが点滅してスタンバイ状態に入る。
……とりあえず雑念は捨てるべき。
俺は四足で立っているというちょうど取りやすい状態のネコのぬいぐるみを見つける。
「これを取る」
そう宣言して指さしたのであった。
そしてクレーンを移動させる。
目標としたネコのぬいぐるみのほぼ真上にクレーンを停止させ、アームを開いたのであった。
「キャーッ……」
「もう許してっ!」
悲鳴が聞こえた。
もちろん河合さんと澤井さんの声だ。
……ぐぐぐ。
俺は必死でこらえた。
そして二人を見ぬように、しっかりと目標のネコのぬいぐるみをアームで掴んだのだ。
「……行けるか?」
いい感じだった。
アームはちょうどぬいぐるみのボディ全体を抱えるようになっていて、これなら落ちそうもない。
そしてクレーンは引き上げられ、アームは無事にスタート位置、つまりゲットできる穴へとぬいぐるみを運んだのであった。
「……ふう」
俺は額に浮かんだ汗を拭った。
ぬいぐるみは無事に回収できた。
そしてそこでようやく河合さんと澤井さんを見る。
「……助かった」
そうなのだ。
見ると河合さんは元のTシャツ姿、澤井さんは水色ワンピースへと戻っていたのだ。
そして二人とも今までの羞恥はまったく覚えていないようだった。
「さすがにやるわね」
「お見事ね」
そう俺をねぎらってくれるのだった。
打ち勝ったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。