20話 困るのですぅ。
【毎日昼の12時と夕方の18時に更新します】
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。(´・ω・`)ショボーン。
「なにやってるんです。
二人とも?」
声をかけられて振り向くと、
そこには若杉先生の姿があった。
「先生こそ、どうしたんですっ?
さっきから姿がなかったのに」
恵ちゃんが先生に話しかける。
「まだホームルーム中です。
教室に戻りなさい。
先生は保健の有藤先生の用事の付き添いで職員室に行っていただけです。
……それにしても二人は仲がいいですね」
「ふえっ?
……仲がいい? あっ、ち、違いますっ。
私たちそんなんじゃありませんっ」
恵ちゃんが驚いたようにそう言う。
「そう?
今日は朝から二人いっしょの場面ばかり見ているような気がするわ。
さあ教室に戻りましょう」
「ち、違いますっ。
それじゃ私、困りますっ」
なにが困るのかわからないが、
恵ちゃんと仲がいいかと言われれば仲はいいだろう。
なんてったって神様と氏子の関係だ。
そんじょそこらの絆とは訳が違う。
だが、男女の仲と言われればノーだろう。俺たちはそんな関係ではない。
「……困るんですぅ」
なんだかわからないが、
恵ちゃんは萎縮してしまったかのように下を向いて小さくなってしまっていた。
「どうしたんだ?」
俺が尋ねると恵ちゃんは小さな頭を左右に振る。
「困るんですぅ」
「ああ、わかった。わかった。
だが先生が教室に戻れって言ってんだ。行くぞ」
「……はい」
小さく頷いた恵ちゃんはとぼとぼと歩き出す。
俺はそんな恵ちゃんを見ながらちょっと疑問を感じる。
あれだけ俺を女子とくっつけたがる恵ちゃんなのに、
自身に言われると赤面してしまうのはなぜだろう?
「あのな、訊くけど、いったいどうしたんだ?
さっきまでの元気はどこ行った?」
「はい。
……私たちそう言う関係じゃないんです。だから困るんです」
「先生は冗談で言ったんじゃないのか?」
「そ、そうですかっ?」
いきなり元気になる。
「そうだろ?
俺とお前がしゃべってばっかりだから、からかったんじゃないのか?」
「わかりましたっ」
そう答えると恵ちゃんは颯爽と歩き出した。
そして俺も教室へ戻ることにした。
いったいなにがどうなってるんだろうか?
俺には恵ちゃんの態度がさっぱりわからなかった。
「えー、みなさん、
いいですか?」
俺が席に着くと先生が壇上でクラス全体に話しかけた。
だが教室の中はまだ騒然としていて、誰も先生の言葉を聞いている感じではなかった。
「みなさんっ!
聞きなさいっ!」
すると若杉先生は大声を張り上げた。
するとようやくみんな気がついたようで、めいめいの席に着く。
やはり新任先生は苦労するようだ。
「突然ですが、
発表があります」
先生はようやく落ち着いた教室内を見回して、そう告げた。
そして黒板にチョークでなにやら書き始めたのだ。
「ええっ!」
クラス中がそれを見てどよめいた。
もちろん俺も同様だった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。