199話 クレーンゲームなのです。
これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「それはクレーンゲームだな」
そうだった。
それはU◯Oキャッチャーに代表されるクレーンを使って景品をゲットするゲームだ。
巨大なガラスケースの中にはクマやネコ、イヌなどのぬいぐるみが山積みされていた。
「ルールは簡単だ。ボタンを使ってクレーンを操作して、この穴に景品を入れればそれがもらえる仕組みだ」
俺はざっと説明する。
「なるほど。理解した」
クレーンゲームには、ビデオゲームなどのようにゲーム内で複雑なルールは一切存在しない。
単純かつ明快なのだ。
「これでたくさん景品が取れた方が勝ちとしよう」
「わかった。理解した」
「じゃあ、どっちから先にやる? 俺からするか?」
すると秀子ちゃんは首を横に振る。
「私からする。やってみたい」
そう宣言した秀子ちゃんはコインをゲーム機に投入した。
すると軽快な音楽が流れ出し、クレーンを操作するためのボタンが点滅を始めた。
「まずこれを押す?」
スタート位置にあるクレーンを秀子ちゃんは横矢印ボタンを使って右側にスライドさせた。
「あのクマのぬいぐるみを取る」
そう言うとクレーンの位置をあわせる。
そして今度は縦矢印ボタンを押して、クマのぬいぐるみの真上にクレーンが来るように移動させた。
初めてらしいが、なかなか手際が良い。
さすが遊戯の神様だ。
そしてクレーンの開閉をさせるボタンに指を伸ばす。
するとクレーンが下がり、アームが開いた。
「ああ、なかなかいい感じですよっ」
「そうね」
「……これは……取れるかも……」
「ふぉふぉふぉ。初めてにしてはやりおるわい」
四女神たちが秀子ちゃんの操作に感心の声をあげる。
その間にもアームは広がり、クマのぬいぐるみを掴んだ。
「ああ、掴みましたっ」
「これをうまく運べれば」
「……いきなり……ゲット?……」
「ふぉふぉふぉ。どうかのう? この手のゲームはこれからが勝負じゃからな」
最後に口を開いた集子ちゃんの言葉がフラグになったようだ。
うまい具合にぬいぐるみを掴んだように見えたアームだが、スタート位置、つまり景品がゲットできる穴に近づくに連れて、ぬいぐるみのバランスが崩れたのだ。
そして――落ちた。
アームが掴んでいた胴体が徐々に下がって行き、真下にぽとりとぬいぐるみは落ちてしまったのだ。
「むう。難しい」
秀子ちゃんが唸った。
「ああ、落ちちゃいましたっ」
「やっぱり難しいわね。これ」
「……難易度……高い……」
「ふぉふぉふぉ。やはり最初からうまくはいかんのう」
そして俺の番となった。
コインは一枚ずつ投入なので、交代交代でプレイすることに決めたのだ。
「じゃあ、俺の番だな」
俺はガラスケース内をざっと見て、手頃な位置にあるイヌのぬいぐるみを目標に定めるのであった。
クレーンゲームは難しいのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




