198話 やりたいゲームはどれ? なのです。
これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「秀子ちゃん、さすがに強いな」
俺は華麗に操作して格闘ゲームを勝ち続ける秀子ちゃんを見て言う。
そのキャラの動きはなめらかで素早い挙動だった。
「まあ、あれでも神様ですからねっ。弱いはずがないですっ」
「でも、そんな遊戯秀子に実質負けなかったんだから、加茂くんの実力も相当なものよ」
「……秀子に……ゲームで勝てる人間は……そうそういない」
「ふぉふぉふぉ。得意中の得意じゃからのう」
子宝の神、恵ちゃん。邪神の呂姫ちゃん。疫病神の臥留子ちゃん。高利貸しの神、集子ちゃんがそれぞれそう言う。
そして対戦相手が途絶え、一段落したときだった。
「来たのね? やる?」
どうやら俺たちの存在に秀子ちゃんは気づいたようだった。
「なにをプレイするんだ? これだけゲームがあるんだから選ぶのも大変だ」
俺がそう言う。
ちなみに俺は今日はダイキチーナの格好ではない。
PCショップでのアルバイトとは違うのだから、無理に女体化する必要はないからだ。
「そうね。……確かにいろいろあるから迷う」
「なら、あまりプレイしたことのないゲームがいいんじゃないか? なにもビデオゲームじゃなくちゃならないってこともないだろう?」
そうなのだ。
PCショップでのゲームは場所柄すべて画面を操作するビデオゲームだった。
だがここはゲームセンターなのだ。
身体を使うゲームもたくさんある。
「……なら、エアホッケーとかどうですかっ? 身体を使うので面白そうですよっ」
「あそこにバスケットボールをゴールさせるゲームがあるわ。ああいうのもいいんじゃないかしら?」
「……太鼓を叩く……音楽ゲームがある……あれも良さそう」
「ふぉふぉふぉ。アーケード版のゾンビゲームはどうじゃの? 銃を持ってプレイするので今までのコントローラーとは勝手が違って楽しそうじゃぞ」
恵ちゃん、呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんがそれぞれ提案してくる。
「むむむ。悩む」
提案されたどのゲームにも秀子ちゃんは興味があるようだった。
それらのゲームの場所に実際に足を運んで一台一台確かめている。
「んー。ならあれはどうだ?」
俺はガラスケースに囲まれた大きなゲーム機を指さした。
すると秀子ちゃんの目がまんまるになる。
「気になる。あれは、なに?」
そしてその場所へととことこと歩んで行くのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。