196話 メール着信なのです。
これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「ん~。それなんだがな……」
俺は歯切れの悪い返事をする。
「お金、まだ足りないんですかっ?」
「いや、お金は足りてるんだ」
「気になる言い方ですねっ。……じゃあ、別のほかのものが欲しくなったとかっ?」
「それはない。俺にとってPCは必需品だ」
「じゃあ、なにが理由なんですかっ?」
恵ちゃんは心底不思議そうな顔になって尋ねてくる。
「……在庫がないらしいんだ」
「在庫ですかっ?」
そうなのだ。
俺がダイキチーナとして数々プレイしたことで、俺の欲しかったゲーミングPCのモデルが大人気になってしまい、すべて売り切れてしまったそうだ。
そして次回の入荷も未定になっていて、いつ店に来るのかわからない。
じゃあ、別の店やネットで買えばいいんじゃないかって考えもあるが、せっかく縁のできたPCショップなので、そこで買いたいという希望が俺にはあるのだ。
店長さんにはいろいろ世話になっているしな。
それにいちおうネットで調べたところ、このモデルは全国的に品薄なようで予約しか受け付けていない店も多いのもわかった。
「じゃあ、仕方ないですねっ」
「ああ、入荷待ちだ。……一日でも早く入荷できるように神棚に拝んどくか」
俺は立ち上がると、部屋に祀ってある神棚に手を打った。
「拝んでくれるのは嬉しいんですけど、私は子宝の神ですからご利益は保証できませんよっ」
恵ちゃんが少々残念な表情を浮かべて、そう説明する。
「いいんだ。気分の問題なんだ」
俺はそう説明するのであった。
■
そして学校は夏休みへと突入した。
だが俺はそのままだった。
ふつう神武寮のヤツらは夏休みは実家へと帰る者たちが多いのだが、俺は隣の県だし帰ろうと思えば日帰りですぐに帰れるから特になにをすることもない。
せいぜい宿題に手を付けるくらいの日々だった。
BeeeTubeへの投稿も不定期で数日置きだったし、PCショップのデモプレイの仕事も一段落がついたことで、休みとなっていたし。
「……暇ですね~っ」
「ああ、そうだな」
俺は部屋の中の机で、恵ちゃんは部屋中央に置かれたちゃぶ台でそれぞれ夏休みの宿題をこなしていた。
「呂姫ちゃんたちからの連絡はないのか?」
「ないですねっ。なんのかんのと忙しいようですよっ」
どうやらいつもの騒がしい三女神たちもそれなりにすることがあって、いろいろ多忙のようだ。
そんなときだった。
恵ちゃんのスマホに着信があったのだ。
「ああっ! 秀子ちゃんからのメールですっ」
叫ぶように恵ちゃんが言う。
「どうしましょうっ。例の件ですよっ、きっとっ」
遊戯秀子ちゃんからというには、例の氏子の件に違いない。
「まあ、落ち着けよ。まずは中身を確認だ」
俺がそう言うと、恵ちゃんは深呼吸を繰り返す。
「そうですねっ。まずは中身の確認ですねっ」
そして恵ちゃんは俺の顔を見てひとつ頷くとメールを開封するのであった。
メールが到着したのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。