194話 敗北なのです。
所用により、これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
……いったい、なにをするつもりなんだ?
俺はちょっと考えてみたが、さっぱりわからない。
このゲームは分身の機体を増やしたりすることはできない。
いくらゲームシステムに介入できる秀子ちゃんでも、違うゲームの内容を移植することは不可能だと思う。
すると秀子ちゃんは自機を画面中央へと進ませた。
俺の弾幕を避けながらなので、なかなか見事な操作だ。
――そして始まった。
「殲滅ボム」
――殲滅ボムだって!
俺は唖然とした。
そうなのだ。
なぜならば殲滅ボムは先程、秀子ちゃんが自ら封印したはずだからだ。
だが、……画面は殲滅ボムは発射され、画面は一瞬で真っ白になったのだ。
……そして俺の自機はもうもうと白煙を吹いていた。
「くうぅぅぅ……」
俺はコントローラーを操作して必死に自機を立て直そうとするが無駄だった。
もはや操作不可能となっていて、そのまま墜落してしまったのだ。
「私の勝ち」
ふふんと笑みを浮かべて秀子ちゃんが言った。
「ちょっと、ずるくないですかっ!」
「そうね。殲滅ボムが使えるようになったなんて説明なかったじゃない」
「……いちど封印したのを……解除したなら……言うべき……」
「ふぉふぉふぉ。フェアじゃないのう」
四女神たちは一斉に俺を援護してくれた。
だが、秀子ちゃんには通じない。
「使えるか試さないダイキチーナが悪い」
なんともふてぶてしい態度だ。
俺は周囲を見回した。
こういうときはギャラリーの方々の反応が重要だからだ。
「今回のエンディングは長いんだな」
「ああ。初めて見るシーンも多い」
「曲がいい。耳に残る」
「いい余韻だった。今日もグッズを買おうかな」
……ダメだった。
みんな神力の影響でなにが起こったのか、まったくわかったいないようなのだ。
「……仕方ない。説明不足の感はあるが、俺の負けだ」
俺は素直に敗北を認めることにした。
確かに使える手の内を事前に教えてくれてないことは不満だが、ここでいつまで揉めていてもどうしようもないからだ。
「ええっ! 負けを認めちゃうんですかっ」
「それって、秀子の氏子になるってことよ!」
「……潔すぎるのも……問題……」
「ふぉふぉふぉ。なんともはやじゃな」
四女神たちも俺が負けを認めたのが気に入らないようだ。
「但し、条件がある」
俺はそう言って秀子ちゃんに向き直った。
「条件ってなに?」
「期間限定だ。説明不足の部分を考慮してだ」
「……仕方ない」
そこで俺は四女神たちを呼び寄せて会議をした。
「三十分くらいでどうでしょうかっ?」
「いや、いくらなんでもそれは短すぎるだろう」
恵ちゃんの提案に俺は答える。
「かと言って一年とかは長いわよ」
「……ほどほどの長さが……いい……」
「ふぉふぉふぉ。短めならいいじゃろうて」
呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんが言う。
「俺は三日くらいでいいと思う」
するとしばらく顔を互いに見回していた四女神たちだったが、やがて納得したようだった。
負けは負けなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。