192話 引き分けなのです。
所用により、これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
俺はとにかく敵の弾幕を避け、攻撃をし続けた。
距離を詰めたことでこちらの弾の威力が上がったことで対空砲火が次々と沈黙する。
――そしていよいよ訪れた。
『ウニ』がもくもくと煙は吐き続けながら高度を落とし始めたのである。
「やりましたねっ。撃墜ですっ」
「とうとうやったわね」
「……道のりは……長かった……」
「ふぉふぉふぉ。やりおったわい」
恵ちゃん、呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんから称賛の声が聞こえた。
そうなのだ。
俺はとうとう撃墜したのだ。
もはや高度が落ちた空中要塞『ウニ』から対空砲火はなく、ただひたすら墜落していくだけだ。
「見事」
真横の席から秀子ちゃんが声をかけてきた。
「あ、ありがとう」
「でも、……まだ勝負はついてない」
「え……?」
俺は思わず聞き返してしまった。
この最後の残った『ウニ』は間違いなく俺が落としたのだ。
だが、違った。
秀子ちゃんの言う通り、勝負はついていなかったのだ。
「……どういうことだ?」
「同点だな」
「引き分けってことか?」
「有り得ん」
ギャラリーの方々が言うのは当然だった。
なぜなら俺と秀子ちゃんの得点が同じだったのだ。
画面の隅には両者ともに165000とまったく同じ数字が並んでいた。
「これって……、どうなるんですかっ?」
「どうなるって? ……引き分け? え、でも……」
「……勝負……ついてない……氏子の問題……解決しない……」
「ふぉふぉふぉ。確かにダイキチーナがどちらの氏子になるか決着がついてないのう」
そうなのだ。
これは俺が今まで通り恵ちゃんの氏子のままでいるのか、それとも秀子ちゃんの氏子になるかの賭け事だったのだ。
だが、同点ということで決着がついてない。
「ならば、決着をつけるのみ。……介入する」
突然に秀子ちゃんがそんなことを口にする。
引き分けなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




