191話 捨て身の殺法なのです。
所用により、これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「……なんてこったい、……ね」
取ってつけたような女言葉で俺は言う。
とんでもないことをしやがった。
そう思った。
「くうぅぅぅ」
俺は自機を旋回させてラスボス空中要塞『ウニ』から距離を取り、通常弾での攻撃を始める。
対空砲火を吐き続けているトゲトゲの先端に弾を命中させて破壊し、攻撃を無力化させる。
そして見ると秀子ちゃんも俺と同じように攻撃していた。
自ら殲滅ボムを封印したのだ。
彼女も俺と同じような攻撃しかできないのだろう。
そしてしばらくしたときだった。
『ウニ』の対空砲火がかなり緩んだ。
大部分のトゲトゲを破壊されたからだ。
そしてうっすらとだが本体から白煙が出始める。
それなりにダメージが入っているようだ。
「これはいけますねっ」
「あと少しよ」
「……後は……時間の問題……」
「ふぉふぉふぉ。なんとかなるものだのう」
四女神が感想を漏らす。
俺はそれから慎重にそして大胆に攻めた。
対空砲火が俺を中心に狙い始めた。
俺がより高い脅威として認識されたからだ。
それを俺は掻い潜り、更に攻撃を加える。
まだ生き残っていて弾幕を張り続けているトゲトゲを順々に潰す。
もちろん秀子ちゃんも俺と同じ行動を取っているのだが、俺の方が優勢で倒すペースが速い。
なので得点差も徐々に縮まっているはずだ。
「すげえ攻撃だな」
「ああ、見事だ」
「おい、そろそろ『ウニ』のヤツ、墜ちるんじゃないか?」
「ああ、だな」
ギャラリーの方々からそんな感想が漏れる。
そう、俺は文字通りに『ウニ』を追い詰めていた。
トゲトゲのほとんどを潰され、黒い本体からはもうもうと爆炎が吹き出ている。
――そろそろだな。
「とどめだ」
俺はそう口にすると自機を横滑りさせて『ウニ』の被害が少ない箇所を集中的に攻めた。するとやはり思った通り、秀子ちゃんも同様の作戦を取る。
そしてしばらくの間、俺と秀子ちゃんの攻撃が続いた。
……まずいな。
戦いながらも俺はそう思った。
そうなのだ。
今、俺と秀子ちゃんは同じようなペースで得点を重ねている。
だからこのペースだと俺は秀子ちゃんを追い抜けないのだ。
……ええい、ままよ。
俺は自機を『ウニ』本体に寄せての攻撃を始めた。
この方が威力が増すので得点が高いのだ。
「くうぅぅぅ……」
だが被ダメージもある。
『ウニ』に近すぎるのですべての弾幕を避けるのは不可能なのだ。
つまり、捨て身の殺法である。
もう後がないのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。