189話 残りは一機なのです。
所用により、これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
やがて画面が元の明るさに戻った。
……撃墜はしてないか。
そうなのだ。
最初に登場してさんざん集中砲火を浴びせていたラスボス『ウニ』はもうもうと煙を吐きながらもまだ宙に浮かんでいた。
そして新たに登場した方の『ウニ』は何箇所から白煙を吹いているがほぼ無傷であった。
……でもポイントはだいぶ追いついたな。
画面隅を見ると秀子ちゃんのポイントと俺のポイントの差が縮まっていた。
これでやっと勝負ができる。
だが殲滅ボムは三発しか使えない。
なので俺は残り一発、秀子ちゃんはまだ二発使える計算だ。
「やるよ」
そんなときだった。
突然、秀子ちゃんが宣言した。
俺はなんのことかわからない。
だが、次の瞬間だった。
自機を画面中央付近に移動させた秀子ちゃんはそこで必殺技を使ったのだ。
――殲滅ボム。
……な、なんだって!
再び画面が真っ白になった。
そしてしばらくすると画面が元の明るさに戻る。
「撃墜だな」
「さすがに殲滅ボム二発だもんな」
「威力抜群だな」
「これは耐えられないな」
ギャラリーの方々から口々に感想が漏れる。
見ると大ダメージを負っていたラスボスの『ウニ』の一機が爆炎を吹きながらゆっくり墜落して行くのが見えた。
完全に撃墜である。
そして残りもう一機の空中要塞だが、かなりのダメージが入ったようで対空砲火の半分が沈黙し、煙をもうもうと吐いている状態だった。
「もう一機はまだ生きていますっ」
「まだ落ちないようね。なら……勝負はついてないけど……」
「……事実上の……負け……」
「ふぉふぉふぉ。得点差がつき過ぎじゃのう」
四女神がそれぞれそう発言した。
そうなのだ。
ラスボスの空中要塞『ウニ』はまだ残っているのだが、今の一機撃墜でポイントが大量に秀子ちゃんの方に入ってしまったのだ。
そのため俺が勝つには少なくとも残りの『ウニ』を俺が落とさないとダメなのだった。
俺は一機残った『ウニ』のトゲトゲに攻撃を集中した。
まだ対空砲火は健在で、俺たちを狙ってどんどん射撃を行っているからだ。
「くうぅぅぅ」
俺は自機を自在に動かして弾幕を避け、射撃を続け命中弾を与えて対空砲火を沈黙させる。見ると秀子ちゃんも同じように攻撃を行っている。
共同して敵を倒すのであれば、これはこれで実に正しい手段だ。
だが、俺と秀子ちゃんは競い合っているのだ。
同じ攻撃を繰り返していても、秀子ちゃんとの得点差は縮まらない。
……ならば、やるか。
俺はそう決意するのであった。
残るは一機だけなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。