185話 殲滅ボムなのです。
所用により、これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
それからである。
三機までは落とすのは意外と簡単だった。
敵は密集していることで攻撃火力は増強していたのだが、密集していることによってそれぞれの重爆撃機が自由に身動き取れなくなっていたのだ。
それにつけこんでエンジンを中心に攻撃を集中させて次々と撃墜させていったのだ。
だが数が減れば敵も自由に動ける範囲が広くなる。
そのことで十機いたときよりも七機になった今の方が難易度が高くなってしまっていた。
「くうぅぅぅ……。この弾幕、厳しい」
俺は自機を四方八方に回避させている。もちろん攻撃を続けたままだ。
今のところ被弾は免れている。そしてわずかだが敵を削っている。
「やりがい、ある」
俺と同じように自機を前後左右に移動させながら被弾を躱す秀子ちゃん。
その動きはなめらかで無駄がない。
「やるな」
「完璧に躱しているぞ」
「見事なもんだ」
「ああ、目の保養になるな」
ギャラリーの方々からは満足の応援が出る。
「なんとかできてますねっ」
「ギリギリだけどね」
「……今は……躱せているけど……」
「ふぉふぉふぉ。徐々に追い詰められ始めておるのう」
四女神たちの分析は冷静だった。
そうなのだ。
俺と秀子ちゃんは今でこそ、七機の重爆撃機からの対空砲火を躱し続けているが、徐々に行動できる範囲が狭められ始めているのだ。
……このままじゃ。やばいな。
俺は確実な手応えとしてそう感じていた。
そんなときだった。
「殲滅ボム、使う」
突如、秀子ちゃんがそう宣言したのだ。
「殲滅ボム? こんな序盤から?」
「使う。ここで自機を失う方が後に響く」
そう答えた秀子ちゃんは自機を画面中央に進ませると一機につき三発しか使えない殲滅ボムを放ったのであった。
――殲滅ボム。
それは必殺技かつ緊急回避のための攻撃方法である。
一発で画面内にいる敵全体に多大なダメージを与えられるのだ。
雑魚戦闘機なら確実に撃墜。
中ボスでも全体の半分程度のダメージは与えられる。
画面が一瞬白く光って見えなくなる。
秀子ちゃんが殲滅ボムを使ったのだ。
そしてその後画面表示が回復した。
すると敵の中ボスの重爆撃機の群れは三機しか残っていなかった。
確か殲滅ボム投下前は七機いたので、ボムで四機が墜落した計算になる。
おそらくそれなりの被ダメージを受けていたことで殲滅ボムで一機に撃墜判定となったのであろう。
……うわ。スコアに差が……。
そうなのだ。
今の殲滅ボムで秀子ちゃんは四機の重爆撃機を屠った。
そのポイントがすべて秀子ちゃんに加算されていたので、俺とは一桁以上差が開いていた。
……これはまずいな。
俺は危機感を覚えた。
このままでは勝負に負けてしまう。
ボムの破壊力は抜群なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。