183話 秀子ちゃんは強敵なのです。
所用により、これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
……雑魚が無視できないな。
俺は戦いの最中、そう理解した。
考えてみればそうなのだ。
中ボスの重爆撃機の対空機銃の全砲門は当然俺たちを狙っている。
そしてそれだけじゃない。
雑魚キャラの戦闘機も俺と秀子ちゃんを狙っているからだ。
片方の攻撃だけに集中し過ぎれば、被弾するのも当然だ。
……仕方ない。雑魚からやるか。
俺は自機を移動させ、邪魔で鬱陶しい雑魚戦闘機に攻撃を加えた。
……あれ?
画面の中で七、八機はいたはずの雑魚戦闘機の二、三機を落としたときだった。
違和感を覚えたのだ。
もっといるはずの雑魚戦闘機からの攻撃がない。
……なるほど。
見ると秀子ちゃんも俺と同じ考えだったようで、俺と同じように雑魚戦闘機たちを落としていたのだ。
「考えは同じですねっ」
「鬱陶しいからね」
「……邪魔者は……排除……」
「ふぉふぉふぉ。一掃したのう」
恵ちゃんたち四女神がそう解説した。
ここでやることが整理された。
もはやシンプルかつ単純。中ボスの重爆撃機を撃墜させればいいのだ。
なのでこれからは単純に俺と秀子ちゃんとの勝負となる。
どちらが先に中ボスを撃破できるかだ。
俺は自機を操り、六台ある敵重爆撃機のエンジンのひとつを狙った。
そして射撃を繰り返した結果、そのひとつが火を吹いた。
「やったわ!」
俺は女言葉で声を出す。
「やりましたっ。あと五台ですっ」
恵ちゃんがそう叫ぶ。
「いや、残り三台よ」
……え?
俺は呂姫ちゃんの言葉に耳を疑った。
だが画面を見るとそれはその通りだった。
秀子ちゃんだ。
俺が重爆撃機のエンジン一台を破壊したときに、秀子ちゃんはすでに二台破壊に成功していたのだ。
……さすが遊戯の神様。
俺は唸らざるを得なかった。
そして俺と秀子ちゃんの攻撃によって敵の中ボスである重爆撃機の全エンジンが出火していた。
「すげえな」
「見事な連携だ」
「驚いた」
「いいもん見たよ」
ギャラリーの方々から感嘆の声が漏れた。
……ダメか。
俺は画面端に表示されているスコアを見る。
俺の側に俺のスコア、秀子ちゃん側には秀子ちゃんのスコアが表示されている。
それを見るとどうやら今の重爆撃機にトドメを刺したのは秀子ちゃんだったようで、彼女の方のスコアが高くなっていた。
……次の目標は俺が倒すしかないな。
そう思ったときだった。
……げげっ!
声にならない叫びが漏れた。
「……な、なんなんですかっ、あれはっ」
「……信じられないわ」
「……今までの……ないパターン……」
「ふぉふぉふぉ。奇々怪々じゃな」
四女神たちが画面に起きた現象を見て口々に感想を述べた。
秀子ちゃん、恐るべきなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。