182話 再戦が始まったのです。
所用により、これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
店内はまだ開店前なので、薄暗い。
照明を半分くらいしか灯していない状態だからだ。
「いつもの場所に設置してありますから」
と、店長さんは店内を指さした。
すると言葉通り、いつもの場所にゲーミングPCが二台設置してあった。
店正面入口脇のいちばん目立つ場所だ。
そこには七色のLEDで筐体内が光る大型のデスクトップ型PCと同じく七色に光るマウス、キーボード、ヘッドセット、ゲームコントローラーがあり、黒と赤を基調したゲーミングチェアが用意されていた。
「用意は十分」
秀子ちゃんがそれぞれの機器を触って確認している。
「毎回思うんですけど、ゲーミングPCって色が派手ですよねっ!」
「特別感を演出し続けていたら、こういう形に行き着いたって感じだな」
「へえっ、そういうものなんですねっ」
恵ちゃんと俺はそんな会話をした。
「開店まであんま時間ないわよ」
「……準備をした方が……いい……」
「ふぉふぉふぉ。準備万端がベストじゃな」
呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんもそう口にした。
「確かに、やれることはやっとかないとね」
すでにダイキチーナになっている俺は、言葉遣いも女言葉に改めた。
そして秀子ちゃん同様に各機器の調整を確認する。
すでにインストールされているシューティングゲームを起動させてみる。
そしてコントローラーを操作して各部の動きを試してみるが、異常は感じられない。
「まもなく開店時間です」
店長さんからそんな声がかかったので、俺と秀子ちゃんは横並びに配置につくのであった。
■
「くうぅぅぅっ!」
俺は思いっきり苦戦していた。
「ふふふ」
そんな俺の様子が楽しいようで、秀子ちゃんは不敵な笑みを漏らす。
店は開店と同時に俺たち目的のギャラリーの方々が多く集まった。
そして特設されたブースの周りを陣取り、思い思い観戦し始めたのである。
「ダイキチーナちゃん、苦戦してるな」
「前回のカーレースゲームでも相打ち上等の体当たりだったしな」
「俺、今回こそはダイキチーナちゃんが使ったコントローラーを買うんだ」
「俺は秀子ちゃんのだな。なんかゲームのご利益がありそうな気がするんだよ」
そんなことを言い合っている。
で、俺だ。
今画面中央には中ボスの重爆撃機が登場し、対空機銃を雨あられと振りまいている。
そしてその周りには雑魚キャラとなる敵戦闘機があちこち飛び回っているのだ。
そんな中、俺は高得点を狙うべく重爆撃機に攻撃を集中させている。
そしてそれはもちろん秀子ちゃんも同じだ。
俺と同様に中ボスに攻撃を集中させている。
「くうぅぅぅっ!」
俺はまた呻いてしまった。
重爆撃機への攻撃、そして重爆撃機の攻撃からの避難に苦心している訳だが、その間に雑魚キャラの戦闘機が放つ攻撃が時々命中してしまうのであったからだ。
「ああっ。また当たっちゃいましたっ」
恵ちゃんの悲鳴めいた声が俺に聞こえてくるのであった。
苦戦しているのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。