178話 リタイアなのです。
所用により、これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
俺の車も秀子ちゃんのレースカーもコース外側に飛び出した。
共にスピンしながらの状態でコントロールなんか一切できない状態だ。
(な、なにをするのダイキチーナっ!)
(他に方法がなかったからな)
秀子ちゃんの問いに俺は答える。
まともな手段では追い抜くことは出来ないのだ。
ならば共にリタイア狙いを行ったわけだ。
ようやく車体のスピンが止まったが、俺の車も秀子ちゃんのレースカーも車体が壊れてひどい状態である。
こうなってはまともに走ることはできはしないだろう。
「相打ち狙いか……」
「これしか方法はなかっただろうしな」
「まあ、仕方ないだろう」
「いいレース見せてもらったよ」
意外にもギャラリーの方々の反応は好意的だった。
俺がわざとぶつけてレースを台無しにしたのだ。
なのでブーイングのひとつでも起きるかと思っていたのだが……。
……もしかしたらダイキチーナの容姿が関係しているのかもしれない。
ダイキチーナは誰が見ても超絶美少女だ。顔もスタイルも申し分ない。
なので好意的に見てくれている可能性が高い。
そして片やぶつけられた方の秀子ちゃんだが、割と淡々としていて特に怒っている様子はない。
そのこともブーイングに繋がらない結果になったのだろう。
「まさかこういう結末とはっ」
「やるわね」
「……肉を切らせて……骨を断つ……」
「ふぉふぉふぉ。その通りじゃのう」
恵ちゃん、呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんが口々に感想を述べる。
そして俺たちのレースカーだが、今、完全にスピンから止まった。
そして車体のダメージだが、かなり派手にぶつかったので原型はとどめているものの、とても走れる状態ではない。
「これはリタイヤするしかない」
「悪いわね」
秀子ちゃんの言葉に俺は返事をする。
すると画面にゲームオーバーの大きな文字がでかでかと表示された。
(あーあ、これじゃ賭け事はノーカン)
(そうなるな)
俺はそう答える。
そうなのだ。
この勝負は俺の氏子を賭けてのものだったのだが、ゲームの条件はどちらが勝つか、ってことだ。
なのでふたりともゲームオーバーでは決着はついていない。
(秀子ちゃん、諦めてくれましたかっ?)
恵ちゃんが念話で秀子ちゃんに尋ねた。
(……まだ。あきらめない。今度は別のゲームでやる)
(ええっ! 往生際が悪いですよっ!)
(だって決着がついてない)
そんな念話を恵ちゃんと秀子ちゃんは行った。
どうやらこのままで終わることはないようだった。
決着はまだついていないのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。