176話 氏子の引き抜きなのです。
更新が遅れてすみません。
所用により、これからは基本一日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
(ねえ、ダイキチーナを賭けない?)
(ええっ! ダイキチーナちゃんをですかっ?)
理解できない恵ちゃんがあわてて返答する。
(気に入った。だから私の氏子にしたい)
(ええっ! なんですってっ!)
……これは俺にもわからないでもない。
俺はゲームが得意だ。
なので遊戯の神様である遊戯秀子ちゃんから、こう提案される可能性はある。
(まったく突然ね)
(……爆弾……発言……)
(ふぉふぉふぉ。これは驚きじゃの)
恵ちゃん以外の呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんもびっくりしている。
当然、俺も驚いた。
(大吉さんを秀子ちゃんの氏子にっ!? ……だ、だめですよっ! 大吉さんは私の氏子ですっ!)
(私が勝ったら加茂大吉を私の氏子にする。負けたらひとつ言うことを聞く。どう?)
(ダメですっ。その条件は飲めませんっ)
(そうねえ。だったら借金をチャラにしてあげる)
……借金?
一瞬、なんのことかと考えてしまったが、おそらくアレだろう。
神様が三柱以上無許可で神力を使うのが八百万組合とかいう神様の互助組織のルールに抵触したとかで、集子ちゃんが建て替えた二百両のことに間違いない。
(あの借金をですかっ……? 確かになくなれば精神的に楽になれますがっ……。……で、でも駄目ですっ。大吉さんは渡せませんっ)
(なら当の本人はどう思ってる?)
(え? 俺?)
聞き返した。
(そう。あなた自身はどう思ってるの?)
(……うーん)
俺は考えた。
正直に言えば氏子にはなんのこだわりもない。
そもそも恵ちゃんが勝手に決めたことだしな。
だが親しくなった恵ちゃんがこだわっているのが氏子としての俺の存在だ。
よくわからんのだが、神様にとって氏子とはとても大事なものに違いない。
(正直俺はどうでもいい。だけど恵ちゃんが嫌がっていることは考慮してもらいたい)
(だ、大吉さんっ!)
恵ちゃんが嬉しそうな声を出す。
きっと目はウルウルになっているに違いない。
ちなみにこの会話(念話)の最中も俺と秀子ちゃんはゲームをプレイしている。
速度を落とすことなく走る秀子ちゃんに俺は負けじと追跡している状態だ。
(なら、私が勝ったらとりあえず氏子になるって考えはどう?)
(とりあえず? なんだそれ?)
(別に氏子は神様に縛られる訳じゃない。氏子の方で拝む神様はいつでも変更できるから)
(……なるほどなあ)
それなら可能だ。
俺が負けたら秀子ちゃんの氏子になる。
だけどそれが気に入らなければ、また恵ちゃんの氏子に戻ることが可能だと言うのだ。
(……それなら仕方ないですっ。わかりましたっ)
恵ちゃんはオッケーを出したようだ。
(わかった。じゃあ俺は全力を出すだけだ)
そして俺は自分の車を加速させるのであった。
大吉さん、やる気になったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。