171話 取引の対価なのです。
所用により、これからは基本一日置きの更新とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
俺は改めて秀子ちゃんを見た。
髪の毛はやや明るい茶色。長さは背中にかかるくらいのセミロングヘア。
胸はさほど豊かではないが、高校生としては普通くらい。
そして背丈は臥留子ちゃんよりやや大きく見える。
「秀子ちゃんは遊戯の神様なんだよね?」
「そう。遊びが得意」
そう言った短い返事があった。
「お疲れ様です。飛び入りですが見事でした」
気がつくと店長さんがそばに来て、秀子ちゃんをねぎらった。
「うん。いい。楽しかったから」
「そうですか。これからもダイキチーナさんとプレイしてくれると助かります」
なんか突然そんな話になった。
俺としては、まあ、恵ちゃんたちの知り合いみたいだし悪意も感じないので全然問題ない。そして秀子ちゃんはゲームができるのなら構わないようだった。
■
「……変わった子だったな」
「秀子ちゃんですかっ? 取引の話で問題ないのなら、付き合ってても平気ですよっ」
帰り道である。
俺がポツリと漏らすと恵ちゃんが答えてくれた。
ちなみに秀子ちゃんとはPCショップで別れたので、ここにはいない。
「あの娘、取引の対価がメチャクチャだから……」
「……以前に……あった……話を聞いたことが……ある」
「ふぉふぉふぉ。ワシが言えた立場じゃないが、アレも相当問題あるからのう」
呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんがそう言う。
「対価がメチャクチャって、どういうことだ?」
俺が尋ねると恵ちゃんが額に指を当てて思い出しながら言う。
「……あれはずっと昔、競馬場だか競輪場だかでの話だったと思いますっ。秀子ちゃんが遊戯の神様だと知っている人との話だったはずですっ……」
「その人は次のレースにどれが勝つか教えて欲しいって遊戯秀子に質問したのよ。ま、勝ちを教えてくれってことね」
「……秀子ちゃんなら……絶対に……当てるから……」
「ふぉふぉふぉ。そしたら教える代わりに今、その人が住んでいる家をくれって言ったのじゃ」
呂姫ちゃんたちが説明してくれる。
「な、なんだって! 家って、なんで家を欲しがったんだ?」
「たぶんですが、それがその人が持っているものでいちばん価値があるからじゃないですかっ?」
「いや、家は困るだろう。家族たちも住んでいるだろうし……」
俺はそう答える。
だってそうだろう。
「だから、その人は教えてもらうのを諦めたらしいわ」
「……でも、次のレース、勝ったのは……秀子ちゃんが予想したものだった……」
「ふぉふぉふぉ。遊戯の神じゃ。その辺りは外さんだろうて」
なんともはやである。
「なら、今回の取引の対価がバイト料だったのは幸運だったのか?」
「そうですねっ。それがいちばん興味があったんじゃないかと思います」
「次回も出るつもりみたいだけど、バイト料だけだからお店は助かるわね」
「……秀子ちゃんは……意外と律儀。……一度交わした約束は……守る」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう」
なるほどな、と思った。
じゃあ、俺たちは次のゲームをなににするか考えるだけでいい訳だ。
秀子ちゃんは律儀なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。