17話 子宝の神様です。
【毎日昼の12時と夕方の18時に更新します】
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。(´・ω・`)ショボーン。
「もうっ、私から言わせるんですかっ?
……恥ずかしくて困っちゃいますっ」
恵ちゃんは妙なしなを作った。
意味わからん。
俺はもう一回ごつんとやろうとして手を上げた。
「はあっ、わ、わかりましたっ!
い、言いますっ、言いますからっ……」
頭上を手でクロスさせて防御しながら、
恵ちゃんは叫んだ。
「なにを作るって?」
俺は改めて訊く。
すると恵ちゃんはため息まじりに呟くように言った。
「赤ちゃんですっ。
決まってるじゃないですかっ」
「ば、……ば、馬鹿な」
俺はいきなり赤面してしまった。
真っ昼間からで、しかも学校の廊下で話題にするものじゃない。
「……だから大吉さんは奥手ですかっ? って尋ねたんですっ。
……私は子宝の神様なんですよっ」
「む、むう……」
俺は唸った。
確かにその通りだった。
あ、いや、迂闊だったと言えよう。
こいつの目的は最初から決まっていることに、改めて気づかされたのだ。
「……あ、待てよ。
……ってことは、ひょっとすると?」
俺は嫌な予感がしたのだ。
考えてみればこいつは神様なのだ。
もしかしてとは思うが念のため確認してみるとしよう。
「……コホン。
あのな、保健室の一件、知ってるか?」
俺は話題変更を装って、
さりげなく尋ねた。
「あ、バレちゃいました?
ちょっとさりげなく澤井さんに念力送ってみちゃったんですっ。
効き目ありましたかっ?」
――ごつん。
俺の拳が再び恵ちゃんにヒットした。
恵ちゃんは頭を抱えた。
「うーっ、痛いじゃないですかっ!
……なにするんですかっ」
「当たり前だ。
……それに河合さんの件も、そうだな?」
すると恵ちゃんは、そっぽを向いて口笛を吹き始めた。
心なしか音程が外れている。
なんか必死にごまかそうとしているのが見え見えだ。
俺はまたしても拳を構えた。
「わーっ、わ、わかりましたっ!
私ですっ、私がやりましたっ!」
俺は少しかがんで、
背の低い恵ちゃんと目線の高さを合わせた。
「なーんでかなー?」
「……だ、だから、
……私は大吉さんに幸せになって欲しいんですっ。
赤ちゃんをいっぱい作って欲しいんですっ」
「……だから俺に、
次々と女の子と接近するイベントを作ったのか?」
「はいですっ」
俺は、はーっ、とため息をもらした。
するとそれが意外だったのか恵ちゃんが不思議そうな顔になる。
「ど、どうしてですかっ?
……澤井さんも河合さんも、美人でかわいいじゃないですかっ?」
「そー言う問題じゃないっ。
彼女たちの人権はどうなるんだ?」
すると恵ちゃんは、ニヤーッと不敵な笑顔を見せた。
なんだか嫌な予感がする。
「ほーっ、そう来ましたか?」
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。