168話 即死級の攻撃なのです。
基本、一日置きに更新いたします。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「ダメよっ! 再生速度が上がってるわっ!」
俺は女言葉で叫んだ。
そうなのだ。
サブマシンガンでヤツの手足を吹き飛ばすのだが、それが再生する速度が最初に比べて速くなっているのだ。
撃たれてちぎれ飛んだ腐肉が、またたく間に再生する。
こうなるとラスボスには手足を使った攻撃があるので、呂姫ちゃんが自由に攻撃できない。
「仕方ないわね。……タイミングを合わせるわよ」
呂姫ちゃんがそう提案した。
俺は呂姫ちゃんの意図を理解した。
サブマシンガンを撃って手足を吹き飛ばしても、その瞬間にすぐ再生する訳じゃない。数秒間のタイムラグがあるのだ。
なので、呂姫ちゃんはそのわずかな短い時間を使って攻撃を行うと言うことだろう。
「呂姫ちゃん、行くよ!」
俺はサブマシンガンを撃った。
そしてラスボスである大型ゾンビの左右の手を吹き飛ばす。
「行くよっ!」
その瞬間に呂姫ちゃんはダッシュした。
そしてラスボスの頭部を中心に金棒で滅多打ちにする。
すると頭上のHPバーが、また減り始めた。
そんなこんなの攻撃をしばらく繰り返していたら、ラスボスのゾンビのHPは残り一割を切った。
緑色だったバーが赤く点滅を繰り返している。
「よし、このまま押し切れるよ」
「うん。このまま行こう」
俺が呼びかけると呂姫ちゃんが頷いた。
そのときラスボスのゾンビがこちらに向かってきた。
俺はとっさに手持ちの手榴弾を投げる。
そして爆発。
ラスボスは動きを止めてこちらを警戒している。
見ると左腕が消失していた。
手榴弾の爆風で吹き飛ばされたのだろう。
「右手を潰すよ」
俺はサブマシンガンで集中攻撃してラスボスのゾンビの二本の右手を吹き飛ばした。
「じゃあ、行くよ!」
呂姫ちゃんが金棒を肩に担いで突っ込んだ。
「きゃーっ!」
だが聞こえたのは呂姫ちゃんの悲鳴だった。
「ま、まさかっ!」
あり得ない行動だった。
ラスボスのゾンビが左腕で呂姫ちゃんを殴り飛ばしたのだ。
あの左腕は手榴弾で喪失していたはずだった。
再生が早すぎる。
「呂姫ちゃんっ……!」
俺(彼女役の女性)は呂姫ちゃんに駆け寄った。
だが、呂姫ちゃんのHPゲージはすでにゼロになっていた。
呂姫ちゃんの残りキャラは一体。
なので復活はできるが、一発で即死級の破壊力を持つラスボスのゾンビの打撃を防ぎながら、勝つことはできるのだろうか?
――そんなときだった。
「――呂姫。代わって」
突然、幼い少女の声が聞こえてきたのだ。
大吉さんたち、ピンチなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。