167話 ルーチンワークなのです。
所用により、これからは一日置きの更新とさせて頂きます。
すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「ハンドアックス、メイス……。どれにしようかしらね?」
呂姫ちゃんは居並ぶ打撃武器を次々に手に取りながら悩んでいる。
「……決めたわ。これにする」
「ええっ?」
驚いた。
それは、なんていうか金棒だった。野球のバットのような形状で全体に金属製の棘がいっぱい付いているものだった。
「それって金棒じゃないの?」
「うん、そうね。鬼に金棒の金棒よ」
そうなのだ。
それはよく日本の鬼が持っている黒い鉄製の金棒だった。
「威力ありそうだし、なにより丈夫そうだから」
……なるほどねえ。
確かに棘があって威力はありそうだし、鬼が持つくらいだから丈夫なのだろう。
だから呂姫ちゃんの選択は間違っていないと思うようにした。
「さあ、じゃあそろそろ行くわよ」
「そうね」
呂姫ちゃんの提案に俺は頷いた。
ゲーム内で言うと主人公の警察官が提案し、その彼女が頷いた形だ。
そして俺たちはセーフティーゾーンであるホームセンターを出てショッピングモールの奥へと向かった。
途中のゾンビたちを金棒とサブマシンガンで一掃しながらである。
■
そして俺たちはショッピングモールの最奥部へと到着した。
「……いるわね」
「ああ」
呂姫ちゃんの問いかけに俺は頷いた。
そこはちょうど行き止まりになっていて、本来ならばアパレルショップが並ぶ、このショッピングモールいちばんの目玉になっている場所だ。
そんな場所にヤツはいた。
巨大なゾンビだ。
しかも形状は異常で、頭が二つ、腕と足は四本ある。
ちょうと人体を二つくっつけた感じのゾンビなのだ。
これがこのゲームのラスボスになる。
「それじゃ行くよっ!」
俺はサブマシンガンをぶっ放した。
ヤツの機動力、攻撃力を奪うために足と手を潰すのだ。
弾が次々と命中し、腐った肉片を撒き散らし、ヤツの腕と足が飛び散る。
「じゃあ、今度は私ね」
そう叫んだ呂姫ちゃんが突撃した。
そして胴体や頭を金棒でぶっ叩く。
肉が潰れる音がしてヤツが思い切りのけぞる。
「……まずい。呂姫ちゃん、一旦下がって!」
俺は呂姫ちゃんに指示を出した。
それもそのはずで俺の攻撃で失われたはずの腕と足が再生して、呂姫ちゃんを攻撃しようとしていたからだ。
「もう一回行くよ」
俺はそう宣言して、再びサブマシンガンを撃つ。
そしてラスボスの腕、足を再度消失させた。
「いいわね。じゃあ行くわよ」
距離を取っていた呂姫ちゃんが再び金棒を振りかぶってヤツに攻撃を加える。
ダメージは通っているのは間違いなくて、頭上に表示されているHPバーが徐々に減っているのがわかる。
「また、下がって。ヤツの手足が再生し始めている」
そうなのだ。
俺の攻撃で失った手足だが、ある一定の時間が経過すると再生してしまうのだ。
「わかったわ」
呂姫ちゃんがまた下がった。
それを確認した俺はサブマシンガンを構え、ヤツの手足に照準を定める。
そして射撃。
すると今までと同じようにラスボスの手足がちぎれ飛んだ。
それを見て呂姫ちゃんがまたもや突撃する。
こうなるとこららの攻撃は一種のルーチンワークとも言える。
……ところがこの攻撃方法はいつまでも続かなかった。
敵は手強いのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。